チェーンじゃないとダメですか?——スポーティなベルトドライブと気軽に付き合える時代がやってきた

チェーンは自転車のアイコンのひとつと言っていいでしょう。チェーンが付いているから自転車だとは言い切れないにしても、自転車なら当然チェーンが付いているとたいていの人は思います。

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でも、そんなこと誰が決めたんでしょうか。チェーンじゃないとダメなんでしょうか。チェーンってそんなにいいですか。不良が振り回したりしたら怖いじゃないですか。いや、そういうことではなくて、足の力を効率よく車輪に伝えてくれるのであれば、かならずしもチェーンじゃなくてもいいのではないでしょうか。

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ベルトドライブと呼ばれる駆動方式があります。要はチェーンの代わりに歯がついたベルトを使って車輪を回すしくみです。ポピュラーではないですが、通勤通学用の自転車などで見たことがある人も少なくないでしょう。

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ベルトドライブは――、

  • 潤滑油がいらない
  • ということはサラッとしてるので汚れが付きにくい
  • ということはズボンが汚れない
  • そうじなどのメンテもほとんどいらない
  • 耐久性が高い
  • 伝達効率はチェーンに近い

――といった特徴があります。本当でしょうか。本当なら、チェーンをやめてベルトにするのが合理的選択のような気がしてきます。

じつは筆者は以前、こうしたベルトドライブの特徴に惹かれ、自分でベルトドライブのスポーツ自転車を組み立ててみたことがあります。けっこうたいへんです。ふつう、自転車のフレームの後ろの三角形には切れ目がどこにもありません。ベルトは閉じた輪っかなので、フレームを切断してベルトを通せるようにしないといけないのです(絶対に真似しないでください)。

自家製ベルトドライブ車の乗り心地はなかなかのものでした。乗り心地は快適そのもので、走行音も非常に静か。踏み出しがわずかにソフトでしたが、十分にスポーティにも乗れました。ただ、自家製はやはりハードルが高いです。危険性もあるので私の口からはまったくお薦めできません。

あれから5年ほど経ったのでしょうか。ベルトドライブをめぐる国内の状況はよくなっているようです。今ではスポーティに乗れるベルトドライブの自転車が、いくつも市場に出ているのです。

たとえばこれ。CYLVA F8B。BRIDGESTONE GREENLABELのクロスバイクです。

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リンク: CYLVA F8B|CYLVA|BRIDGESTONE GREEN LABEL

ブリヂストンサイクルが開発したカーボンベルト(伸びが少ない)にシマノ製の8段変速内装ギアハブを組み合わせています。なにがいいって、切断したり溶接したりしないで、ベルトドライブの快適さをすぐに味わえるのが最大の特徴でしょう。

街乗りはもちろんですが、フィットネスバイク的な快走も楽しめそうです。さらに、キャリア用のダボ穴が付いているので、個人的にはツーリングにも使ってあげたいところです。ベルトでツーリングしてるとよく声かけられますよ。

気軽な通勤通学や街乗りが目的なら、ORDINA S5Bというコストパフォーマンスの高い選択肢もあります。

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リンク: ordina S5B|ordina|BRIDGESTONE GREEN LABEL

もっとエッジの立ったものに乗りたいなら、HELMZのSR1が浮上します。

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リンク: HELMZ

私は試乗車に乗ったことがあるのですが、これは(固定ギアではないものの)ホントにピストの乗り味です。ペダルを踏んだときのカーボンベルトの反応もカチッとタイトで、ベルトとは思えません。リアハブは潔くシングルスピード。シングルとベルトの組み合わせはとても相性がいいのではないかと思います。

ベルトドライブも万能というわけではもちろんありませんが、「ここがいい」というチャームポイントがちゃんとある方式なので、もっと積極的に乗りこなす人が増えたらいいのにと思っています。

text_Kazuya KAWASAKI(geared) photo_Gen SUGAI(CyclingEX) & Bridgestone Cycle co,. Ltd.

川崎 和哉 プロフィール:雑誌・書籍・Webマガジンのエディターを経て2000年にSpoo! inc.を設立、代表をつとめる。自転車野宿旅行が好き。『geared(ギアード)』編集長。

リンク: geared【ギアード】 – アウトドア、自転車、ランニング、ガジェットの情報

協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社

3件のコメント

  1. はじめまして。
    カーボンベルトというのは、どの部分にカーボンが使われているのでしょうか。
    ケブラーベルトよりもどのくらい強いのですか。

    1. コメントありがとうございます。
      HELMZの製品ページによればベルト内部にカーボン心線が用いられているとのことです。
      具体的な数値での強度については編集部でも情報を得ておりませんが、従来のベルトよりもきつく張っても問題なく、それによりテンショナーが不要になっています。

      https://www.helmz.jp/detail/index.html

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