1959年に提唱された建築運動「メタボリズム」の中心にいた人物のひとりである、建築家の黒川紀章氏(1934-2007)。その活動は言論や政治にもおよび「奇才」と称された黒川氏ですが、自転車のデザインを監修したことがあります。
初期の代表作として知られるのが、「中銀カプセルタワービル」です。
メタボリズムを代表する建築のひとつとも言えますが、メタボリズム自体は建築物だけではなく、都市や社会のありかたにまで踏み込んだものでした。ちなみに、カザフスタンの首都であるアスタナの都市計画は、黒川氏によるものです。
リンク: カザフスタン新首都アスタナ計画
さて、黒川氏が監修した自転車とは、ブリヂストンサイクルの「K-design(Kデザイン)」です。
そのカタログは極めてシンプルで、あまり多くを語ろうとしていません。
こちらは、フェンダー付きながらスマートなシングルスピードモデル。
そして、外装6段変速でスポーティさをもたせたモデルの、2種類が用意されていました。
よく見ると、リアブレーキのケーブルはトップチューブに内蔵されていますし、リアブレーキはシートステーの前側に付いています。また、サドルはセラサンマルコ・レーザー(合皮)を用いるなど、派手さはありませんが随所にこだわりを感じます。
今このK-designを新車で手に入れることはできないわけですが、2018年の東京をこの自転車で走ってみたら、景色がどんなふうに見えるのか、興味は尽きません。
1989年度グッドデザイン賞受賞商品です。
text_Gen SUGAI(CyclingEX) カタログ画像提供_ブリヂストンサイクル
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社
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