東京の都心部で働いていたり、暮らしたりしている方は、都心部を移動するときはどのような交通手段を使っているでしょうか。クルマ、タクシー、鉄道、路線バス、自転車、そして徒歩などいろいろな手段がありますよね。
今回のBRI-CHANでは、都心部の移動にタクシー/地下鉄/自転車という3つの手段を用いて、所要時間やかかった金額を比較してみることにしました。移動区間として選んだのは、東京・青山にあるブリヂストンサイクルのコンセプトショップである「RATIO &C」と、芝公園の近くにあるブリヂストンサイクルの東京オフィス。単純に、自転車をお借りして返却するのにちょうど良いという理由なのですが、これが意外と面白い結果を生むことになりました。
RATIO &C〈レシオ・アンドシー〉| カフェとショップ、そしてたった1種類のシティバイク。
リンク: RATIO &C 〈レシオ・アンドシー〉
外苑西通りに面した「RATIO &C」は、地下鉄銀座線の外苑前駅が最寄りで、表参道駅も徒歩圏内。目的地となるブリヂストンサイクルの東京オフィスは、地下鉄三田線の御成門駅が最寄りで、地下鉄やJRの新橋駅なども徒歩圏内です。
まずは、自転車とタクシーの二手に分かれて、同時刻に移動してみました。
使用する自転車はRATIO &Cでお借りした「ブリヂストン・ネオコット」。ロードバイクのフレームにブルホーンバーをインストールしたシティバイクです。基本は車道を通行しますが、シティサイクルの方でも参考になるようスピードは控えめにして、かつ、最短距離ではなく「走りやすい」ルートを選びます。
一方のタクシーは、RATIO &Cの近くでタクシーを拾って、ドライバーさんに目的地を告げるだけ。
とある平日の14時40分、同時にスタート。競争するわけではないので、落ち着いていきます。タクシーを拾うにも自転車で車道を走るにも反対車線に出た方が都合が良いので、2人とも歩道を進みました。
そして、タクシー担当がタクシーに乗り込む前に、私は自転車にまたがって走り出します。この日は思ったほど交通量がなく、タクシーでも自転車でもスムーズに移動できそうな予感がします。
自転車で御成門駅方面を目指す私は、交通量が多い青山通りや六本木通りを避けて進むことを考えていました。そこで外苑西通りを進んで青山墓地の中を進みます。
気持ち良く進んでいきます。六本木方面に抜ける選択肢として、個人的には六本木トンネルの側道を通ってミッドタウンの前で外苑西通りに出るか、乃木坂トンネルをくぐって乃木會館の前あたりで方向転換をして乃木坂陸橋で外苑西通りに出るかの、2つの選択肢があります。シンプルだけど右折待ちが多い前者か、少しひねくれているけど時間は意外とかからない後者か。今回は後者で行きました。
そのまま六本木を通過して、東京タワー方面へ。飯倉の交差点は左折レーンが2車線あるので、一度自転車を降りて、横断歩道を押し歩きました。そして順調に東京タワーの前を通過していよいよ御成門駅へ——といったあたりで、あれ?車列が全然進みません。よく見ると前方でクルマが接触事故を起こしたらしく、当事者たちがクルマを寄せるのに戸惑っていました。信号1回分まるで進まず、3分くらいロス。
そしていよいよ、ブリヂストンサイクルの東京オフィスに到着!
もちろん、タクシー担当は先に到着していました。基本的には道が空いていたので、5km程度では勝ち目はありませんね。
タクシーの方はというと、外苑西通り〜ミッドタウン〜飯倉〜御成門駅前と、ごくふつうに移動。タクシー車内から東京タワーの写真を撮っているあたり、考えることは同じか。時間は20分、料金は2010円でした。
自転車は、上記のようなルートを通りつつ、距離は約5km、時間は、途中でスマホで写真を撮りつつで32分でした。ペースもゆっくりめだし、まぁこんなものでしょうか。
さて、日は改めましたが、同時刻の地下鉄移動はどうでしょうか。
RATIO &Cの最寄駅は外苑前駅。各種の地図サービスでドアtoドアのルートを検索すると、地下鉄銀座線の外苑前駅から銀座線に乗り、新橋駅で降りて徒歩という結果が出てきます。なるほど、そう来るか。
RATIO &Cから外苑駅前まで徒歩6〜7分、すぐ来た電車に乗って新橋駅まで10分、そこから歩いて12分。というわけで、全体の所要時間は約30分でした。新橋駅から徒歩12分は、ちょっと遠いなぁという感じがしました。
その替わり、東京メトロしか使わないので運賃は165円(ICカードの場合)と安上がりです。
そこで、もうひとつの鉄道ルートをデータ上で検討してみます。RATIO &Cから表参道駅まで歩き、地下鉄千代田線に乗車、日比谷駅で都営三田線に乗り換えて、御成門駅で降りるルートです。
こちらだと、表参道駅まで徒歩7分〜千代田線が9分〜乗り換え7分(待ち時間含む)〜三田線が3分〜御成門駅から徒歩4分で、約30分の移動となります。運賃は269円(ICカードの場合)です。東京メトロと都営地下鉄を乗り継ぐのでやや高く、しかも日比谷駅での乗り換えで歩きますが、雨の日や暑い日ならこのルートが良さそう。
というわけで、ざっくりまとめると。
歩いている時間と乗り物に乗っている時間がわかるように、グラフにしてみました。電車の待ち時間は乗車時間に含みました(今回は幸い、ほとんど電車の待ち時間がありませんでした)。また、移動にかかった費用もグラフにしています。
あくまでも外苑前駅最寄りのRATIO &Cから、御成門駅最寄りであるブリヂストンサイクルの東京オフィスまでの移動を比較しただけなのですが、移動時間だけを見れば、自転車はタクシーにこそかなわないものの、地下鉄とは互角なんですね。今回、自転車はかなり余裕をもって走行した結果がこれなので、バイシクルメッセンジャーが速達性をウリにしているのもわかります。そして何より、自転車での移動はとても気持ちが良いものでした。
移動にかかった費用については、自転車を買った場合の費用は含まれていないので、フェアではないかもしれません。有料の駐輪場を利用する場合は、その料金も考える必要はありますね。
ところで、個人的にいかんともしがたいのが「花粉症」。自転車に乗っている間は良いのですが、降りてからはくしゃみを連発してしまいました。マスクとネックゲーターと薬というトリプルガードにより、何も対策しないよりはかなりマシだったのですが……。
また、移動中の過ごし方もそれぞれ違います。自転車であれば運転に集中しなくてはなりませんが、地下鉄ならスマートフォンを触ってメールを見たりできますし、タクシーなら電話だってできます。移動時間の多少だけでなく、その時間をどう使うかも大事なのは確かです。
しかし、だからこそよく晴れた日くらいは「どうせ移動するなら、気持ち良いほうがいい」という選択があっても、悪くないと思うのです。
text&photo_Gen SUGAI(CyclingEX)&BRI-CHAN編集部、機材協力_ブリヂストンサイクル
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社
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