ロードバイクに乗った選手が競う「サイクルロードレース」にはいくつかの競技種類がありますが、今回は主に市街地で行われる「クリテリウム」を紹介します。
一般的に、サイクルロードレースは1日で行われる「ワンデーレース」にしろ、数日に渡って行われる「ステージレース」にしろ、スタートからゴールまで長い距離を走るのが一般的です。
対してクリテリウムは、1周数キロのコースを使って行われます。ゴールの着順はもちろん「●周目の終了時に先頭だった選手」にポイントを与えてポイント数も競わせることで、レース中に見どころを作ります。また、クリテリウムは比較的観戦しやすい街中で行われるのもポイントです。
日本でも、クリテリウムレースはいくつか開催されていて、海外からの招待選手が走る大規模なレースもあります。とくに有名なのは、宇都宮市で行われる「ジャパンカップクリテリウム」と、さいたま市で行われる「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」です。
ジャパンカップクリテリウム
10月15日の午後、宇都宮駅に降り立ち市の中心街へと歩いていくと、交通規制が始まり「ジャパンカップクリテリウム」のプログラムが始まろうとしていました。
宇都宮森林公園の周辺で海外選手も招待して開催されるサイクルロードレース「ジャパンカップ」は、大きな周回で行われます。一方、前日開催のクリテリウムは、宇都宮の中心部に設定された短い周回コースで行われます。コロナ禍で中止が続き、今年は3年ぶりの開催でした。
レースが始まる前から続々と観客が集まりはじめ、海外選手たちの登場前に行われる高校生のレースからすでに、目の前を通り過ぎる自転車のスピードに会場のボルテージが上がっていきます。
そして、海外有力チームをはじめとするクリテリウム参加選手たちが、まずはパレード走行。お目当てのチームや選手がいる観客が、大きな声援を送っていました。
実際にレースが始まれば、なごやかなムードは一変。いきなり飛び出していく選手と、それを追う選手、そしてあえて追わない選手など、いろいろ。
逃げていようが、追っていようが、集団の中にいようが、ひとつ言えることは「やたらと速い!」。そのスピードを、こんなに間近で何度も目撃できるのが、クリテリウムの魅力です。
二荒山神社の前も、折り返しポイントも、人だかり。レースにもよりますが、コースそばにライブ映像を流す大型ビジョンが設置されていれば、そこで観戦するのもおすすめです。
ゴールシーン(の直後、餃子を食べに行こうとする様子)は動画でどうぞ。
というわけで、クリテリウムレース観戦後の餃子はうまい!
宇都宮駅までの帰り道、オリオン通りを歩けば、ジャパンカップ1色でした。
リンク: JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE
ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム
「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」はその名前のとおり、世界最大の自転車レースである「ツール・ド・フランス」の魅力を日本に伝えるクリテリウムレースです。大相撲の海外巡業と似ているかも!?
よく晴れた11月6日、北与野駅からさいたま新都心方面に歩いて行くと、メインのクリテリウムはまだまだ先の時間なのに、どんどん人が集まってきていました。ちょうど、さまざまなカテゴリーの選手がタイムトライアルに挑んでいました。
さいたま新都心に土地勘がある方ならわかると思いますが、こんな街のど真ん中で自転車レースが行われるんです。
さいたまクリテリウムでは、チーム単位でコースを周回してタイムを競う「チームタイムトライアル」もありました。海外選手のチームタイムトライアルを見る、貴重な機会です。
沿道に集まる人は、増えはしても減ることはありません。
そして、いざクリテリウムがのレースが始まれば、宇都宮のときと同じく、選手が高速で走り抜けていきます。
「スペシャルチームジャパン for さいたま」と称した連合チームに、チーム ブリヂストン サイクリングの橋本英也選手が参加していました(3枚組の1枚目と3枚目)。
ゴール地点付近のパブリックビューイング会場に向かうために、さいたま新都心駅の前を通ると、改札直後からさいたまクリテリウムの文字が目に入ります。ちなみにこの週末はさいたまスーパーアリーナで「GUNS N’ ROSES」の来日公演もあり、しかも天気が良い土日とあって、本当ににぎやか。
クリテリウムのレース後半は、パブリックビューイングで落ち着いて観戦。「2022 サイクルフェスタ」というイベントが同時開催され、いろいろな人が楽しめるようになっているのでした。
サイクルフェスタのフードエリアで「大宮ナポリタン」なるものを食べました。
美しい夕焼けの中、クリテリウムがゴールを迎えました。
さいたまクリテリウムの会場の様子も、動画でどうぞ。
リンク: ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム
今回紹介したふたつのクリテリウムは、日本で開催されるものとしては最大規模と言えるもので、観客の多さや盛り上がりも「この規模だからこそ」という面はあります。しかし、国内で開催されるそのほかのクリテリウムも、街中がレース会場になり、ロードバイクに乗る選手が高速で駆け抜けて行く迫力は共通です。
日本でトップカテゴリーのレースを開催している「JBCF」や「JCL」の場合ですと、ロードレースの前日に近くの市街地で開催されるケースが多いようです。Webサイトで、ぜひスケジュールをチェックしてみてください。
リンク: JBCFサイクルロードシリーズ オフィシャルサイト | JBCF 全日本実業団自転車競技連盟 公式サイト
リンク: ジャパンサイクルリーグ JAPAN CYCLE LEAGUE オフィシャルサイト
text&photo_SUGAI Gen(CyclingEX)
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社