車輪が小さくてかわいい小径車(ミニベロ)や折りたたみ自転車。しかし、車輪が小さいということは、「ペダルひと漕ぎで進む距離が少ないのでは?」「たくさん漕がないと進まないのでは?」と心配になる人も多いことでしょう。
左が700Cの「CYLVA F24」、右が20インチの「CYLVA F8F」
ちょうどCYLVA F8Fをお借りした際に、この疑問をブリヂストンサイクルの担当者にぶつけてみたところ「そんなことありません、CYLVA F8Fをはじめとするブリヂストンの小径車や折りたたみ自転車は、車輪は小さいけどよく進むんです!」と、胸を張ります。
果たして本当でしょうか? ここは実際に、ペダルひと漕ぎで進む距離を、測ってやろうじゃありませんか。
というわけで押しかけました、埼玉・上尾のブリヂストンサイクル本社。そして700Cのクロスバイク「CYLVA F24」と、20インチのフォールディングバイク「CYLVA F8F」も用意していただきました。
CYLVA F24は700Cのホイールに、前3段×後8段のギアを装備。フロントギアの歯数は大きい方から48/38/28Tとなっています。そしてリアはいちばん重たいギアが11T、いちばん軽いギアが32Tです。
CYLVA F24のクランク(フロントギア)と、リアのギア
一方、20インチの小さな車輪が採用されている、フォールディングバイクのCYLVA F8F。こちらは前1段×後8段のギアを装備。フロントギアの歯数は52T、リアはいちばん重たいギアが11T、いちばん軽いギアが30Tです。
こちらはCYLVA F8Fのクランクとリア周り。フロントギアの歯数は52Tと大きい
両者の車輪径は、これだけ違います。
700Cと20インチでは親と子ほどの違いだ
では、地面にメジャーを置いて、さっそくペダルひと漕ぎで進む距離を測ってみましょうか!
ギアの歯数もタイヤの周長もわかっているので、計算すれば答えが出るのは明らかななおですが、それでも我々は「やってみたかった」のです。
計測方法は、地面にメジャーを置いて、実際に乗車してクランク1回転分の進む距離を測る方法と、2人で自転車を支えて押し歩きながらクランクを1回転させる方法をとり、両者で大きく差が出る場合は後者の押し歩く方法でもう一度計測しています。
計測方法は、いたって地味
というわけで、まずはCYLVA F24から。フロントギアは、多くの人がもっとも常用するであろう、真ん中(2段目)の38Tに設定。そしてリアの軽いギア(32T)から重たいギア(11T)まで、順番に計測しました。
クランク1回転で進む距離を、各ギアごとにひたすら確認していきます
結果は、このようになっています(今回の企画における実測値です。計算値とは誤差があります)。
- ●CYLVA F24(700C)
- 前38T×後1速 255cm
- 前38T×後2速 290cm
- 前38T×後3速 345cm
- 前38T×後4速 393cm
- 前38T×後5速 455cm
- 前38T×後6速 545cm
- 前38T×後7速 615cm
- 前38T×後8速 727cm
同じようにCYLVA F8Fもいってみよう!
メジャーに沿ってゆっくり、まっすぐ、しかもクランク1回転分だけ進むのは以外と難しい
CYLVA F8Fでは、このような結果となっています(今回の企画における実測値です。計算値とは誤差があります)。
F8Fでも同じように計測。どれだけ違うものか?と思いながら測り始めたが……
- ●CYLVA F8F(20インチ)
- 前52T×後1速 260cm
- 前52T×後2速 300cm
- 前52T×後3速 343cm
- 前52T×後4速 390cm
- 前52T×後5速 446cm
- 前52T×後6速 511cm
- 前52T×後7速 595cm
- 前52T×後8速 706cm
では、CYLVA F24とCYLVA F8Fの結果を並べてみましょう。
なんと、思っていた以上に近い数値が出ています。車輪が小さいので、たくさん漕がないといけないのではないかと思われがちな20インチのCYLVA F8Fですが、実際にクランク1回転で進む距離は、700CのCYLVA F24で常用するであろうギアと、大きな差はないことがわかります。
もちろんこれには、理由があります。冒頭にも紹介したとおり、CYLVA F8Fは車輪が小さい分、52Tという大きなフロントギアを採用することで、700Cのクロスバイクに匹敵する走行性能を手に入れているのです。
一方、700CのCYLVA F24ではフロントギアが3枚になっていて、よりワイドなギアを選ぶことができますから、「ものすごくきつい坂も押し歩かずに行きたい」とか「ロードバイク並みにハイスピードで巡航したい」というときには有利でることは、言うまでもありません。
というわけで、今回の結論。20インチのCYLVA F8F、実は700CのF24並みに良く進みます! 車輪が小さいからといって、たくさん漕がなければいけないかというと、そんなことはないと、改めて確認することができました。なお、今回は登場しませんでしたが、ベガスやマークローザミニ等、ブリヂストンサイクルの他の小径車も、基本的には同様の配慮がされているそうです。
700Cクロスバイク「CYLVA F24」の製品情報はコチラ
20インチフォールディングバイク「CYLVA F8F」の製品情報はコチラ
text&photo_Gen SUGAI(CyclingEX)
取材協力:ブリヂストンサイクル
CYLVA F6F・CYLVA F8F リコールについて
残念なことに、CYLVA F6FとF8Fのリコールが発表されています。ユーザーの方は使用を中止し、必ずブリヂストンサイクルのWebサイトを確認してください。フレームが破損し事故に至る可能性があります。
ブリヂストンサイクル株式会社が製造いたしました折りたたみ自転車「シルヴァF6F・F8F」(以下、対象製品)について、フレーム折りたたみ部の溶接部の破損が原因で走行時にバランスを崩し転倒する事故等が発生しています。お客様の安全のため、2022年10月31日より対象製品全数の製品回収(返金)を実施いたします。
情報源: 折りたたみ自転車「シルヴァF6F・F8F」製品回収(返金)のお知らせ|重要なお知らせ 2022|ブリヂストンサイクル株式会社
[2022年11月5日 追記]
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社