ブリヂストンサイクルが1999年モデルからスタートさせたスポーツバイクブランド「BRIDGESTONE ANCHOR(ブリヂストン アンカー)」(当初は「ANCHOR(アンカー)」)。
その自転車は、同社のレーシングチーム「TEAM BRIDGESTONE ANCHOR」(現在は「TEAM BRIDGESTONE Cycling」)所属選手が使用することもあり、競技志向の強いものが中心となっていました。今でも「ブリヂストン アンカー=競技」というイメージを持っている方は少なくないとは思いますが、ある時点から、競技志向ではないユーザーからの支持も集めるようになっています。
その起点となったのが、こちら。
2006年モデルから登場した「RFX8」シリーズです。
当時のフラッグシップモデルは「RHM9」というもので、フレームにはハイモジュラスカーボンを使用し、セミエアロのデザインのスローピングフレームと高い剛性が魅力でした。まさに、サイクルロードレースで戦うためのフレームだったのです。
それに対してRFX8は「ロングディスタンス」を意識したものでした。
ヘッド周りやボトムブラケット周りの剛性はしっかりと確保しながら、シートステーやチェーンステーは扁平断面かつ湾曲した形状として、振動吸収性能を高めています。しかもフレーム単体で1,000g(480サイズ)と十分軽量でもあります。
RFX8は「軽くて、しなやか」で、長距離を快適に走行できるフレームに仕上がりました。
これは、当時のTEAM BRIDGESTONE ANCHORやANCHORブランドに憧れつつも、ホビーとしてロードバイクを楽しみたいユーザーにはぴったりなものでした。製品開発時に意図されたロングライドにチャレンジしたい人はもちろん、その軽さからヒルクライム好きからも支持されたのです。
RFX8は2009年モデルでさらに進化し、捻れ剛性を高めています。初代のRFX8がどちらかというと淡々とロングライドをこなすのを得意としていたところを、2009年モデルではダンシングを混ぜつつ、リズミカルに楽しく走るようなスタイルにも対応しました。
この頃、レース向けのトップグレードである「RHM9」も次世代に進化しており、その仕様を取り入れつつも、剛性は一般のサイクリストにも扱いやすいようにあえて落とし(もちろん、適材適所の剛性を与えてある)、ヘッドチューブも少し長めにして、リラックスしたポジションが取れるようになっているのも特徴です。
この2世代目によってRFX8の人気は確かなものとなり、好調な販売成績を残しました。
その後、2013年モデルでRFX8から「RL8」に進化し、2017年モデルでは推進力最大化解析技術「PROFORMAT」で開発した「RL9」が登場。2018年モデルでは「RL8」もPROFORMATを用いた2世代目にモデルチェンジしました。
また、アルミフレームでRLシリーズの乗り味を実現したPROFORMAT採用モデル「RL6」も、2017年モデルから登場しています。
ロードバイクがサイクルロードレースをイメージの頂点としていることは、当時も今も変わりないでしょう。また、プロ選手が使っているのと同じものを手に入れることができるのは、自転車の面白いところでもあります。
しかし、サイクルロードレースに憧れやリスペクトの念をもちつつも、今の自分に合い、そして自分のレベルを高めてくれるロードバイクが欲しい——そう考えるサイクリストにとって、当時のRFX8はまさにぴったりの1台だったのではないでしょうか。
そしてRFX8は、BRIDGESTONE ANCHORがレースオンリーではなく、レースのイメージを頂点としつつ、レースで培った技術やスピリットをより多くの人に広めてくれるスポーツバイクブランドへと変化する大きなきっかけだったと言えるのです。
リンク: BRIDGESTONE ANCHOR
text_Gen SUGAI(CyclingEX) カタログ画像提供_ブリヂストンサイクル
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社