ブリヂストンサイクルのファンサイトと銘打ってスタートしたこのWebサイト「BRI-CHAN」も、2019年の1月末で4年目に突入しました。BRI-CHANは、ブリヂストンサイクルの自転車の中でも街乗り向けの製品を中心に取り上げています。それは、スポーツだけではなく「日々の暮らしの中で使う自転車」に、ちゃんと向き合ってみたいと考えたからです(もちろんスポーツも好きなのですが)。
今、ブリヂストンサイクルの街乗り自転車ラインナップの中心にあるのは「BRIDGESTONE GREEN LABEL」の各モデルです。実は、日本の自転車メーカーが電動アシスト自転車へと舵を切る現状において、街で使う“電動アシストではない自転車”にこれだけ力を注いでいるというのは、他にあまり例がありません。
BRI-CHANでは今回、改めて「BRIDGESTONE GREEN LABEL」の魅力を掘り起こしてみたいと思い、ブリヂストンサイクルの企画・開発チームにお話を伺うことにしました。
品質的にもデザイン的にもしっかりした街乗り自転車を
今回お話を伺うのは、商品企画担当の村河裕紀さんと、デザイナーの宇津見俊さん。お二方とも20代で、BRIDGESTONE GREEN LABELに携わる他のメンバーも20代が多いとのこと。自転車メーカーの開発者と聞くと「ベテラン」と勝手にイメージしていたのですが、若いチームで作られているのですね。
さて、BRIDGESTONE GREEN LABELはどのようなコンセプトの自転車なのでしょうか。単刀直入に、村河さんに聞いてみました。
「BRIDGESTONE GREEN LABELは、主に街での移動を目的とした自転車の製品群で、シティサイクルからクロスバイクまでをカバーしています。ただ街中を移動するだけなら、一般的に“ママチャリ”と呼ばれるような自転車で事足りるという人も、少なくないでしょう。しかし一方で、品質的にもデザイン的にもしっかりしたものを使いたい、見た目にもこだわりたい――という人も少なくありません」(村河さん)
確かに、そのへんで売っている安価なシティサイクルで事足りるという人は多いと思いますが、そのような自転車はどれも似たり寄ったりですし、例えばカラーリングひとつとっても、そんなにこだわっているという印象は受けませんよね。
「そうですね。ふだんのカジュアルな服装に似合い、日常生活の中で使っていただけたらという想いで、BRIDGESTONE GREEN LABELを開発しています。自転車のラインナップとしては幅広いのですが、BRIDGESTONE GREEN LABELとして全体のトーンを統一し、雰囲気や仕立てのバランス、価格帯といったところでのまとまりを持たせています」
BRIDGESTONE GREEN LABELのラインナップ
ここで改めて、BRIDGESTONE GREEN LABELのラインナップをおさらいしておきましょう。
・CYLVA(シルヴァ)
CYLVAは、クロスバイクとフラットバーロード、そしてフォールディングバイク(折りたたみ自転車)を用意。
「BRIDGESTONE GREEN LABELの中ではもっともスポーティなCYLVAですが、あくまでもカジュアルに使っていただけるような扱いやすさとデザインにしています」(村河さん)
・ORDINA(オルディナ)
ORDINAは、ギアが露出していない内装変速機とベルトドライブを採用しているのが特徴です。
「自転車通勤にぴったりなのが、ORDINAです。F8BはBRIDGESTONE GREEN LABELでもっとも高級なモデルで、マット塗装にヘアラインを入れるなど、細部の質感にこだわっています」
・MARKROSA(マークローザ)
MARKROSAは、発売から10年を迎えたロングセラーモデル。街中や駐輪場でもよく見かけるので、乗っている人が多いのでしょう。
「MARKROSAは、2019年モデルからスタッガードフレームに統一しています。女性がスカートで乗りやすいのが特徴ですが、27インチサイズもあるので、男性にも選んでいただけます」
・CHERO(クエロ)
CHEROはBRIDGESTONE GREEN LABELの現行モデルで唯一クロモリフレームを採用し、クラシカルなムードが満点です。
「同じスタイルで700C、650C、20インチと3つのサイズを用意しています。40代以上の方には懐かしく、若い世代には新鮮に映るようです」
・VEGAS(ベガス)
20インチのシティサイクルでは定番のVEGAS。こちらもロングセラーですね。
「いわゆる“ママチャリ”のようなミニサイクルでは納得しない方に、デザインが支持されています。発売開始から12年もの間、人気を保ち続けています」
・TOTEBOX(トートボックス)
そして、BRIDGESTONE GREEN LABELの中でも個性が際立つのが、小径ホイールと大きなコンテナ風バスケットが特徴のTOTEBOX。
「荷物がたくさん運べるのが魅力です。丈夫なリアキャリアが備わっていて、実はオプションのチャイルドシートが人気です。カスタムを楽しまれている方も多いようです」
細かいところまで気配りされているのがブリヂストンらしさ
BRI-CHANでは、これまで何度もBRIDGESTONE GREEN LABELの自転車を実際に使って、記事にしてきました。そのたびに「細かいところまで配慮が行き届いている自転車だな」と感じます。
例えばフォールディングバイクのCYLVA F6F/F8Fは見た目こそシンプルですが、その折りたたみ機構は安全性が高く、走行中の安心感も高いものです。
荷物をたくさん積むことを想定したTOTEBOXは、乗車中はもちろん、自転車を降りて押し歩いているときの安定性まで考慮されています。
CHEROのサドルはクラシカルな鋲打ちが特徴ですが、この鋲まで耐候性の試験が行われているそうです。
「サドルの鋲だけではありません。CHEROにはボルトで固定するロックオンタイプのグリップが使われているのですが、そのボルトひとつとっても、厳しい品質基準をクリアしたものが採用されているんです」(宇津見さん)
こういった真面目な取り組みは、一度製品がリリースされたら終わりではなく、ユーザーからのフィードバックをもとに行われる改良にも反映されます。
「例えばCYLVA F24は、2018年モデルでは軽量でサビにくいアルミ製フロントフォークを新たに採用したり、2019年モデルでは同じく2018年モデルから、よりホイールを丈夫にするためにスポークを太くするといった、小さな改良を積み重ねています」
「CYLVA F24のスタンドがセンタースタンドからリアのキックスタンドに変わったのは、そうしたほうが狭い駐輪場でも引っかからず、自転車を出し入れしやすいから。そういった声には常に耳を傾けています」(村河さん)
自転車ではフレーム以外は各部品メーカーのものが使われることが多いのですが、既存のもので満足できなければ、その自転車のための専用品を用意することも厭わないと言います。
「ORDINA F8Bのチェーンリングは、既存のものではどうしても満足できず、オリジナルデザインでアルミ削り出しの専用品を設計しました。社内に3Dプリンターが導入されているので、パーツの試作はスピーディーに行われています」(宇津見さん)
触れれば良さがわかるが、見た瞬間に欲しくなることも大事
このようにブリヂストンサイクルの品質へのこだわり、そして若い企画・開発メンバーの想いが存分に注ぎ込まれている、BRIDGESTONE GREEN LABEL。しかし、そういったこだわりは、見ただけでは理解しにくいのも事実です。また、価格だけを比較すれば、世の中にはいくらでも安物があります。そこでカギを握るのが、デザインです。
「実際に商品に触れて、乗ってみれば良さを理解していただけるとは確信していますし、試乗イベント等では良い反響も得られています。しかしそれだけでは不十分で、見た目にも訴えかけることも重要です。市場に似たり寄ったりの自転車が多い中で、パッと見た瞬間から印象に残る色やデザインによって差別化を図っています。とくに女性は、色で選ぶ方が多い傾向があります。カタログでは“洋服のように、似合う自転車を選ぶ。”と表現していますが、見た目を妥協したくないわけです」(村河さん)
「見た目でも訴えかけることで、2万円の自転車を買いに来た方が、4万円~5万円するBRIDGESTONE GREEN LABELを買ってくださる――といったことにつながっています。また、CYLVAは当初スポーティなイメージのカラーリングだったのですが、2018年モデルからBRIDGESTONE GREEN LABELとして統一されたカジュアルなイメージとしたことで、販売も好調です」(宇津見さん)
なるほど。やはり自転車を選ぶ上で色やデザインは欠かせない要素なのですね。わざわざ見た目が気に入らない自転車など欲しくないのが当然だと思うと同時に、そこを妥協してしまっていることも多いのでしょう。
実際、BRIDGESTONE GREEN LABELのMARKROSAシリーズなどは、今どきの自転車としては珍しいくらいにカラーバリエーションが多く(各モデルとも6色)、どのカラーも個性的です。
というわけで、BRIDGESTONE GREEN LABELのデザインに込められたこだわりについては、次回にご紹介します。
(つづく)
リンク: ブリヂストン グリーンレーベル | 自転車 | ブリヂストンサイクル株式会社
[2019/6/10]一部記述を修正しました。
text&photo_Gen SUGAI(CyclingEX)
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社
CYLVA(シルヴァ),・ORDINA(オルディナ),・CHERO(クエロ)のような,よりスポーティな車種にも「点灯虫」のついた製品があってもいいと思います。電池式の自転車灯は盗まれることがあるので面倒です。