自転車の“達人”が解説!軽いギアでクルクル回すの?重いギアでゆっくり回すの?

みなさんは、自転車のギアをどのように使っていますか? 変速レバーに書いてある数字が小さいほうが「軽い」ギアで、大きいほうが「重い」ギアであることは多くの人が知っているでしょう。

photo_リンケージサイクリング

以前の記事では、「スピードが出るに従って後ろのギアを重たくしていき、ペダルの回転数が早すぎず遅すぎず、ちょうどよくなるようにギアチェンジをしましょう」と説明しました。今回の続編ではもう少し深掘りし、クルクル回す軽いギアとゆっくり回す重いギアとの違いや、どちらがよいのかを解説していきます。

文:田代恭崇(2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表)

関連記事: 自転車の達人に聞いてみた!「クロスバイクのギアはどうやって使うの?変速段数が多いほうが速いの?」 – BRI-CHAN

ギア、ケイデンス、スピードの関係

自転車のスピードは、ギアとケイデンス(1分間のペダル回転数)によって決まります。スピードを速くするためには、ギアを重くするかケイデンスを上げるか、どちらかが必要です。つまり、軽いギアでクルクル回しても、重いギアでゆっくり回しても、どちらの方法でもスピードを速くしたり維持することはできます。

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では「どっちがいいのか?」となりますよね。そして、ほとんどの人が、ペダルをグイグイ踏んでいる感覚がある「ゆっくり回す重いギア」のほうがが速く走れるように感じるのではないでしょうか。

ロードバイクの人はクルクル回している

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颯爽と走るロードバイクの人たちは、意外と脚をクルクルと回しています。上級者となるとケイデンスは90回転ほどになり、高速で走るときにはケイデンスがさらに上がります。筆者が選手の時は、ケイデンス100回転を維持するように走行していました。体重が軽く筋肉量が少ない選手はクルクルとよく回し、体重があり筋肉量が多い選手は重めのギアを踏む傾向にありました。

軽いギアでクルクル回すのと重いギアでゆっくり回す違いは?

30km/h〜40km/hのスピードで走るロードバイクの人たちが脚をクルクル回しているのには、理由があります。

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スピードを維持するためにケイデンスを上げると心肺に負荷がかかり、心拍数が上がります。一方でギアを重くすると、筋力に負荷がかかり筋肉がダメージを受けるのです。心肺機能が強ければケイデンスがやや高めでも大丈夫ですし、筋力が優れていればケイデンスがやや低め(重めのギア)でもよいわけです。

そしてロードバイク の場合ですと、心肺と筋力への負荷のバランスがよいところが、ケイデンス90〜100回転ぐらいなのです。さらにスピードが50km/h〜60km/hと速くなるとケイデンスはさらに上り、逆に20km/hや10km/hに落ちるとケイデンスは下がる傾向になります。

では、クロスバイクではどうでしょうか。

クロスバイクでは軽いギアでクルクル回すのと重いギアでゆっくり回すのはどっちがいい?

ケイデンス90〜100回転ぐらいがバランスがよいというのは、ロードバイク の話です。クロスバイクの場合は、もう少しゆっくりとしたケイデンスとなるでしょう。

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大雑把ではありますが、スピードに比例したケイデンスの目安がを紹介しましょう。

ケイデンスの目安

車種想定スピードケイデンス
シティサイクル10〜15km/h50〜60回転
クロスバイク15〜25km/h60〜80回転
ロードバイク25〜40km/h80〜100回転

クロスバイクの想定スピードを考えると、簡単に言えばケイデンスはシティサイクル(いわゆる「ママチャリ」)より高め、ロードバイクよりは低めとなります。

ロードバイク並みのケイデンスでクロスバイクに乗ると、普段使いとしては心肺の負荷が高くなりますし、逆にシティサイクル並みのケイデンスだと筋力に負荷がかかってしまうからです。ペダルを回す目安は、シティサイクル以上、ロードバイク以下と覚えておきましょう。

大事なのはバランス!いつもより「1段軽いギア」を試してみよう

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軽いギアでクルクル回すのと、重いギアでゆっくり回すことの「どっちがいいか?」と考えがちですが、心肺と筋力のバランスのよいところを狙うことが大切です。軽すぎず重すぎず、1秒に1回転より少し早いケイデンスにすることで、効率的により快適に走れるのではないでしょうか。

一般的には、無意識のうちに重いギア(ケイデンス低め)になる傾向があるので、ふだんより一段軽いギアで走行してみることをおすすめします。

通勤や通学、週末のサイクリングの際に、ぜひ試してみてください。

●今回の記事に登場したクロスバイク

CYLVA F24(税別52,800円)※3年間盗難補償付き
製品情報はBRIDGESTONE GREEN LABEL(ブリヂストン グリーンレーベル)のWebサイトでどうぞ。

リンク: シルヴァ | ブリヂストン グリーンレーベル | 自転車 | ブリヂストンサイクル株式会社

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田代恭崇(たしろ・やすたか)

神奈川県藤沢市、江ノ島のすぐ近くで体験型サイクリングプログラムを提供している「リンケージサイクリング」を主宰。2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表選手。

リンク: LINKAGE CYCLING

協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社