クルマやオートバイ、自転車に電動キックボードと、世の中には多種多様なパーソナル・モビリティがあります。今回は、複数のパーソナル・モビリティを目的に合わせて使い分け、日々の暮らしに役立てている方の「8輪ライフ」をご紹介しましょう。
今回ご登場いただく菊池美範さんは、デザインや出版に関するビジネスを手掛けています。自宅もオフィスも都心にあった頃は自転車の必要性を感じていなかったものの、さいたま新都心に転居されてからは、ブリヂストンの電動アシストクロスバイク 「TB1e」を愛用されています。
菊池さんがTB1eを手に入れたのは、2021年11月のこと。
「それまでは、日常的には自転車に乗っていませんでした。もちろん子供の頃は自転車に乗っていましたし、社会人になってからもミニサイクルを使ったり、会社として電動アシスト自転車を購入してスタッフで共用したりといったことはありました。ただ、当時の住まいとオフィスがあった港区は、坂が多い。それに、かつての電動アシスト自転車はアシストが弱く航続距離も短くて、スタッフが出先で電欠になったりもしていました。そんなことがあって、自転車には乗らない生活になっていましたね」
しかし、コロナ禍をきっかけに、自転車との接点が生まれます。
「コロナ禍のロックダウンに近い状況で、できれば電車に乗るのは避けたい……ところが当時の自宅近くには、まとめ買いができるような大規模スーパーがありませんでした。いちばん近いディスカウントスーパーまで2.5kmあって、歩くのも辛いわけです。そこで、妻とふたりで共有できる自転車があればと思い、20インチの電動アシスト自転車を購入しました。その電動アシスト自転車は、さいたま新都心に引っ越した今でも妻が愛用しています」
実は、夫妻で共用することを目論んで購入した電動アシスト自転車は、菊池さん自身にはサドル高が低すぎました。それでも、自転車との接点が復活した菊池さんは、やがて自身の自転車を手に入れたいと思うようになります。
「さいたま新都心に引っ越してきてからは、マンションに導入されていたシェアサイクルを使ったりもしていたのですが、いざ使いたいときに捌けてしまっていることが多い。やはり、自分の自転車が欲しいと思うようになりました。それで購入したのが、今のTB1eです。実は当初、TB1eを買うつもりはまったくなくて、小径のE-BIKE(スポーツタイプの電動アシスト自転車)が欲しいと思っていたんです。でも本格的なE-BIKEは価格が高いし、私が欲しいものは取扱店も限られていました。そこでいろいろ調べて、ホイールが大きいもので、アシストの航続距離もあって……と検討していくうちに、TB1eにたどりつきました」
菊池さんが手に入れたTB1eには、スイッチカバーやバックミラー、スマホホルダーやボトルケージといったアクセサリーが装着されており、TB1eが標準装備しているスタンドやフェンダーなども相まって「毎日乗る、道具としての自転車」という雰囲気があります。
「電車やバス、クルマやバイク、そして自転車、徒歩と移動手段はさまざまです。そんな中でTB1eが活躍する場面といったら、公共交通機関の便が悪く、目的地周辺に駐車場やバイク駐輪場がない場所へ出かけるときですね。このへんで言うと、東浦和や戸田、西大宮や見沼とか……公共交通機関がバスしかないところは、TB1eで出かけることが多いです」
中でも気に入っているのが、見沼エリアだと言います。
「見沼は、自転車が最強じゃないですかね。芝川沿いや広域農道などで快適に行けるし、夕暮れ時のや秋の稲刈り前の水田など、四季折々の風景も美しいですし、意外なところにいいカフェがあったりして、とても魅力的なところです。見沼方面に用事があるときは、自転車がいちばんです」
「買い物にTB1eを使う場合もあります。それほどたくさん買い物をしないときは、クルマで行くのもちょっと大袈裟です。そして、さいたま市内はスーパーがたくさんあるけれど、徒歩では行きづらいところも少なくありません。そんなときは、自転車です。郊外に限った話ではなく、例えば大宮駅前はクルマもバイクも停めるのが不便な一方で、駐輪場は結構あるので、自転車がいちばん便利だと感じます。複数のスーパーを細かく立ち寄るにも、自転車が便利ですね」
クルマと原付二種スクーターも所有し臨機応変に使い分け
ここまでお読みになった方は気づかれたと思いますが、菊池さんはクルマと原付二種スクーターを所有しています。利用目的などに応じて、クルマ/スクーター/自転車を使い分けていると話します。
まずは、クルマ。愛車は中古で手に入れた、黒いスズキ・スイフト(2代目)です。
「クルマの出番は、例えば大量の買い出しをするときですね。肉のキロ買いとか、調味料や冷凍食品をたくさん買うときなどは、妻と二人で、クルマで出かけます。買い物以外でも、さいたま市内から出る時など、目的地が自宅から離れていて、かつ駐車場があるとわかっていれば、クルマを使います。また、長距離ドライブで旅行に行く時もあります。昨夏にはスイフトで乗鞍まで出かけました」
菊池さんは、一時期は自分のクルマを所有していないこともあったそうですが、もともとはクルマ好き。
「初めての自家用車は、タダで譲ってもらったKP61スターレットで、クルマの運転はこれで鍛えられましたね。スズキ・カプチーノやMGFに乗っていたこともあります。その後クルマを手放して、カーシェアでいいかなと思っていた時期もあったのですが、やはりコロナ禍でクルマの必要性を感じました。それに、自分がシニアの入り口にさしかかって、運転できる期間には限りがある、その先は免許お返しということになるだろう——そう考えると、今のうちにクルマに乗っておきたいという気持ちもありました。今後は、電動化や自動運転も体験しておきたいですね」
そして、原付二種となる125ccのスクーター。愛車はスズキ・アドレス125。2017年〜2021年に製造・販売されていて、同クラスとしては余裕のある車体サイズと手頃な価格で人気のスクーターです。
「アドレスの位置付けはまさに、クルマと自転車の中間ですね。目的地が微妙に遠くて、かつ機動性が必要なときや、クルマの駐車環境がよくないところに行く際に使います。アドレス125は荷物が積めるので、ちょっとした買い物にも便利です。パッと出かけて、パッと買い物にして、帰ってくる。無料のバイク置き場が用意されているスーパーも多いですし、クルマより素早く出し入れできます。また、休日にはホンダエアポートまでプチツーリングに出かけたり、妻とタンデムで公園に出かけたりもしています」
実は、菊池さんはバイク遍歴もなかなかマニアックです。「15〜16年ほど前まで、BMWのK75に乗っていました。それ以前も、ヤマハのXJ750EやXZ400、RD250、ホンダのCB250RSなどに乗っていました」と話します。一方で現在の愛車はスイフト/アドレス125/TB1eと、比較的実用に振りつつ、趣味性を感じさせる——そんなラインナップです。
「実用にすぐれたものは、ちゃんとデザインされているものです。機能美、“用の美”があります。そして、単なる実用ではなく、どこかに楽しめる趣味性が盛り込まれているものが今は好きですね。マニアックな乗り物が欲しいと思うこともありますが、今所有しているそれぞれの便利さを知ってしまうと、日常で使う分はこういうのがいちばんだなと感じます」
利用シーンと環境が「最適な移動手段」を決める
さて、菊池さんのお話を伺っていて、筆者は「どんな移動手段が適しているかは、利用シーンと環境によって決まるのではないか」と感じました。それなりの距離とたくさんの荷物、そして家族と同乗するならクルマが最適ですし、ひとりで細かい移動を繰り返すような使い方なら、自転車が適しています。125ccのスクーターは、ちょうどその中間の役割を担うことができます。
また、さいたま新都心周辺は、自転車専用通行帯や青い矢羽が設置された道路も増えつつあります。こういった通行環境の有無も、自転車の利用を後押ししてくれるのではないでしょうか。菊池さんも、都内に住んでいた頃よりは「自転車が使いやすい」と感じているそうです。
最後に、すっかり生活の中に電動アシストクロスバイク「TB1e」が馴染んでいる菊池さんが、今後TB1eでやってみたいことはなんでしょうか。
「せっかくなので、もうちょっと遠くまで行ってみたいですね。例えば、荒川サイクリングロードを終点まで走るとか」
実用がメインでTB1eを利用している菊池さんですが、乗り物好き言え、やはり「乗ること・走ることの楽しさ」を追い求める気持ちが、湧き出てくるようでした。
(おわり)
菊池美範(きくち・よしのり)さん
1960年熊本県生まれ。多摩美術大学卒。広告代理店、広告制作プロダクションを経て、株式会社エイアールを共同設立。グラフィックデザイン、エディトリアルデザインの分野で代表取締役兼アートディレクター/クリエイティブディレクターを務める。2010年にデザイン戦略/出版事業を中心とした株式会社エイアールディーを設立し、代表取締役を兼務。2015年にエイアールを解散。以降、エイアールディー代表取締役兼アートディレクター/クリエイティブディレクターとして活動中。
ブリヂストンの電動アシストクロスバイク・TB1e(税込価格:174,000円)の情報はこちら。
リンク: 電動クロスバイク TB1e(ティービーワンe) | ブリヂストンサイクル株式会社
text&photo_SUGAI Gen(CyclingEX)※特記以外
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社