自転車にとって大敵はパンク。ちゃんとタイヤに空気を入れておくだけでパンクのリスクを低減できることは、以前に記事で紹介しましたが、それでもパンクしてしまうときはあります。万が一パンクしてしまったときの備えとして、パンク修理の方法を覚えておくと良いでしょう。
シティサイクルも、最低限の工具と少しの時間さえあれば、自分でパンク修理をすることが可能です。自転車屋さんが開いていない時間でも、また、自転車屋さんがちょっと遠いんだよな〜なんて場合でも、自分で修理できれば問題ありません。今回は、シティサイクルで一般的な英式バルブを採用する「VEGAS」を教材に、実際にパンク修理にチャレンジです。
まず、用意するもの。タイヤレバー/紙やすり/ゴムのり/パッチがセットになったパンク修理キット(自転車屋さんやホームセンター等で、700〜800円程度で入手可能)、空気入れ、そして自宅で作業する場合は水を張ったバケツがあると便利です。
自宅で作業を行う場合は、自転車をひっくりかえすと作業がしやすいですよ。地面や床にダンボールを敷けば、自転車を傷つけることもありません。
タイヤに空気が残っていれば、空気を抜いてしまいましょう。袋ナットを緩めてムシと呼ばれる部品をバルブから抜き取りましょう。このとき、ムシゴム(虫ゴム)の状態を確認してください。ムシゴムが劣化してボロボロになっている場合は、それがパンクの原因となっていることがあります。また、チューブの穴をふさいでも、ムシゴムが劣化していると結局すぐに空気が漏れてしまいます。明らかにムシゴムが痩せている、切れているという場合は、要交換です。
さあここからはタイヤレバーの出番です。2本用意します。冒頭に紹介したキットに付属しているものとは別のレバーを用意しましたが、どのタイヤレバーでも基本的にやることは変わりありません。レバーをスポークにひっかけることができるものが便利です。上の写真では、右端がタイヤとリムの間に差し込む側、左端がスポークにひっかける側です。
作業は、チェーンが付いていない側で行います。タイヤとリムの間にタイヤレバーを差し込み、レバーを起こし、レバーをスポークにひっかけます。このとき、タイヤレバーをグリグリと差し込みすぎると中のチューブを傷つけてしまうので、そっとやさしく。そして、1本目から少し離れたところに、同じように2本目のタイヤレバーを差し込みます。こうすることで、タイヤがリムから外れます。そこから先は、手でタイヤを外すことができるはずです。片側(チェーンが付いていない側)の全周を外します。
タイヤがリムから外れたら、今度はチューブを取り出しましょう。修理して使うのですから、手荒く扱わないように注意が必要です。バルブの反対側からチューブを取り出し始め、最後にバルブをリムのバルブ穴から抜きます。チューブを取り出すことができたら、いったんバルブに袋ナットとムシを取り付けて、少し空気を入れてみてください。このとき、チューブから空気が抜けているところがあるようであれば、耳を近づけて音の出所を探しましょう。
自宅で作業するのであれば、水を張ったバケツを用意して、そこにチューブを入れてみましょう。チューブに穴が開いているのであれば、ブクブクと気泡が確認できるはずです。その場所を覚えておきましょう。
霧吹きにシャボン液を作ってチューブにまんべんなく吹きかけていくという方法もあります。チューブに穴が開いていると、右の写真のようにぷくぅ〜っとなるはずです。ただし!シャボン液の調合が意外と難しいという難点があります(笑) お子さんと作業する場合などは、チャレンジしてみると面白いのでは。
チューブの穴を確認したら、その場所にホワイトマーカーで印をつけましょう。チューブに空気が残っていれば、いちど抜いてしまって構いません。
ここで、パンク修理キットに入っていた、紙やすりの出番。後ほど使用するパッチを貼るために、チューブの表面を軽く削ります。パッチの大きさよりも広めに行うのがポイントです。
続いて、パンク修理キットに入っている「ゴムのり」を、紙やすりで削ったところに塗り広げます。チューブから出す量は、あずきの大きさが目安(ちょっとわかりにくいですが……)。塗り広げたら、5分ほど時間を置きます(←重要!)。
次にパッチを取り出しましょう。パッチを台紙から剥がし、さきほど紙やすりでけずったところに(もちろん、チューブに開いた穴がふさがるように)貼り付けます。そして、指の力を使ったり、硬いもの(木槌など)を押し当てるなどして、圧着させていきます。ふちの部分がちゃんと圧着できているかどうかが、ポイントです。
ちゃんと圧着できたら、透明の保護フィルムをはがしていきましょう。ふちがめくれたりするとNGですが、今回は上手くできたようです。チューブに少し空気を入れてみても、パッチがはがれたりしません。この状態で、水を張ったバケツに修理箇所を入れてみて、気泡が出てこないようであれば、OK!
チューブをタイヤに戻す前に、タイヤに異物がないか確認しましょう。外側からの目視だけではなく、内側を指でなぞって確認します。本当に異物があったときにケガをしないように、そーっとなぞりましょう(軍手をしても良いでしょう)。
さあ、チューブをタイヤに戻します。袋ナットやムシを外した状態で、まずはリムのバルブ穴がある部分からチューブを入れていきます。バルブをリムの穴にまっすぐ通したら、リムナット、袋ナット、ムシをいったん取り付けます。この段階では、リムナットは最後まで締めなくて良いです。そして、チューブに少し空気を入れましょう。
タイヤの中にチューブを入れていきましょう。ゴムのタイヤの中に、ゴムのチューブを入れる作業は、すべりが悪くて意外と難儀することも。チューブにベビーパウダーをまぶすと、タイヤの中に入りやすくなります。うまくできないな〜という場合は、試してみてください。
「タイヤの中にチューブを入れる」と言いますが、ただ入れるのではなく、「チューブをリムの上に乗せる」という意識で作業すると、チューブのおさまりがよくなります。
チューブがタイヤの中におさまったら、今度はタイヤをリムに戻していきましょう。シティサイクルのタイヤであれば、基本的には手のひらや指の力だけでも。タイヤのふち(ビード)がリムにのっかります。このとき、タイヤとリムの間にチューブが咬みこんでいないかどうか、指で隙間を広げて確認しておきましょう。
空気入れで空気を入れて、最後にリムナットを締めて(そっと締めればOK)、バルブキャップを付ければ、パンク修理は終わりです。空気を入れる量は、可能であれば自転車屋さんで空気を入れてもらって、その際にタイヤを指で押してみてその感触を覚えておくのが良いでしょう。以前の記事(こちら)も参考にしてください。
お疲れ様でした!
text&photo_Gen SUGAI(CyclingEX)/model_Yumi TAKADA/Adviser_drawer
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社
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