ブリヂストンサイクル「GREENLABEL」にラインナップされている自転車の中で、クラシカルなイメージが強い「CHeRO(クエロ)」シリーズ。
700C/650C/20インチという3種類のホイールサイズ、そしてフラットハンドルのほか700Cにはドロップハンドル仕様も用意されていますが、こちらは700CのCHeRO。フロントギアがシングルでリアが8段変速の、もっともベーシックなモデルです。
CHeROの各モデルに共通しているのは、「カンチブレーキ」というブレーキを採用していることです。カンチブレーキ(カンチレバーブレーキ)とは、どんなものでしょうか。
こちらがその、カンチブレーキです。スポーツサイクルに使われている他のブレーキと見比べてみましょう。
上の写真は、CYLVA F24に採用されている「Vブレーキ」。クロスバイクのブレーキとしては、もっともポピュラーと言えるでしょう。ブレーキレバーを握るとワイヤーが引かれて、2本あるブレーキアームの間隔が縮まり、ブレーキシューがリムに当たります。
一方こちらは、ロードバイクのキャリパーブレーキ(写真はCYLVA D18)。左右にブレーキアーチがあって、ブレーキレバーを握りワイヤーが引かれると、アーチから伸びたアームが動いてブレーキシューの間隔が縮まることで、ブレーキシューがリムに当たります。
こちらはディスクブレーキ。ブレーキパッドをディスクに押し当てることでブレーキが効きます。ワイヤーで作動させる方法(機械式)と、油圧で作動させる方法(油圧式)があります。写真はワイヤーで作動させる機械式です。
そしてもう一度、カンチブレーキ。ブレーキレバーを握りワイヤーが引っ張られると、ブレーキアーチにも上に引っ張る力が加わります。ブレーキアーチがフレームに取り付けられる台座は軸になっているので、実際には左右のブレーキアーチが閉じる動きになり、ブレーキシューがリムに当たります。
カンチブレーキは太いタイヤで使用できるのが特徴で、昔のマウンテンバイクにおいては標準的なブレーキでした。現代ではツーリング車やシクロクロス車でよく使われている方式です。CHeROではクラシカルなイメージ、そして標準で太めのタイヤを装着していることもあり、カンチブレーキが採用されています。
しかしカンチブレーキには、クロスバイクで一般的なVブレーキと比較すると、制動力で少々劣るという弱点があります。「カンチブレーキは効かない」というイメージを持っている人も少なくないでしょう。理由はいくつかあるのですが、ひとつは構造上ワイヤーが引かれる量が少ないこと(てこの原理です)、もうひとつは、ブレーキをかけるとフレームやフロントフォークの台座に反力がかかり、フレームによってはブレーキの力が逃げてしまいます。
では、CHeROはブレーキが効かない自転車なのか!? 筆者も「カンチブレーキ=効かない」という先入観を持っていたひとりなのですが、実際にCHeROに試乗してみると、以外と言っては失礼ですが「なんだ、十分に効くじゃないか」という感想を持ったのです。
そこで、ブリヂストンサイクルの担当者に「CHeROのカンチブレーキって、十分に効きますね」と話を振ってみると、その理由について教えてくれました。
「カンチブレーキの部品を決める際に、社内で厳しいテストをしています。CHeROには、ブレーキ本体やシューを含めて、きちんと制動力が発揮できるブレーキを採用しているんです。また、カンチブレーキの性能は、フレームやフロントフォークにも左右されます。フレームやフォークについてもテストを繰り返し、ブレーキの力が逃げてしまわないように、台座周辺の剛性をしっかりと確保しているんですよ」(担当Yさん)
「もうひとつ付け加えさせていただくと、カンチブレーキの台座を取り付ける溶接の位置や角度も、検証を重ねています。ブレーキシューがしっかりとシューに当たって、その性能を最大限発揮することができるようにしました」(担当Yさん)
ブリヂストンサイクルの自転車は、品質に対する厳しい基準があって、当然ながらテストをクリアした製品しか世に出てこないのですが、CHeROのカンチブレーキひとつとっても、そういった「ブリヂストンサイクルならでは」の取り組みが行われているのですね。
カンチブレーキはその構造上、絶対的な制動力がVブレーキに劣るのは事実ですが、CHeROの場合はパーツの選択とフレーム&フロントフォークの設計によって、カンチブレーキの性能を可能な限り引き出しているというわけです。
BRIDGESTONE CHeRO 700C(8段)
- 税別価格 55,800円
- フレーム クロモリ
- タイヤ 700×32C
- 重量 12.1kg
- 製品情報 http://www.bscycle.co.jp/greenlabel/chero/700c.html
text&photo_Gen SUGAI(CyclingEX)
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社
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