クロスバイクやロードバイクのハンドル高さは変えられる

自転車を快適に使うために大事なのが、適切な乗車姿勢です。以前にサドルの高さについて紹介しましたが、今回はハンドルの高さ。サドルのように簡単に高さを変えることはできませんが、それでも調整自体は可能なんです。

写真と文:須貝弦(CyclingEX)
技術協力:山路篤(ドゥロワー・ザ・バイクストア)

今までBRI-CHANでは「自転車を選ぶ上ではサイズが大事」や「適切なサドル高で乗ることが大事」といったことを記事で紹介してきました。それは、適切なサイズの自転車に適切な乗車姿勢で乗ることが、快適さに直結するからです。

関連記事: 自転車の達人に「クロスバイク乗りのための適切なサドル高」について聞いてみた – BRI-CHAN

今回は、もう一歩進んで、こちらに着目します。

そう、ハンドルです。

ハンドルの高さは、自転車を購入する際に、販売店のスタッフが乗り手の体格を見て調整しています。その上で、納車されているのです。しかし、しばらく乗っているうちに「もっとハンドルを高くして楽な姿勢で乗りたい」とか、逆に「もう少しハンドルを低くしたほうがしっくりきそう」と思うこともあります(慣れてくると「低くしたい」というケースが少なくありません)。

今回は、BRIDGESTONE GREEN LEBEL(ブリヂストングリーンレーベル)のクロスバイク「CYLVA F24(シルヴァ F24)」を例に、ハンドル高さの調整について見ていきましょう。

はじめにお断りしておきますと、ここからご紹介するハンドル高の調整作業は、販売店に依頼してください。ハンドルの高さ調整だけを単独で行うことができず、同時にフロントフォークを正しく固定する作業や、ヘッドセットベアリングが正しく回転するように調整を行う必要があります。それらが正しく行われない場合は、走行に安全上の問題が生じます。

こちらが、F24のハンドル周りです。専門的な用語で言うと「アヘッド」という形式が採用されています。ステアリングの軸(コラム)とハンドルをつなぐ部品が「ステム(ハンドルポスト)」で、そのステムの高さは、指差している「コラムスペーサー」によって調節されています。このコラムスペーサーを、ステムの上下に入れ替えて高さを変えるのです。

というわけで、くどいようですがここからは、販売店の作業です。販売店でどんなことをやっているのかを知っていただくのが目的ですので、詳しい説明はしておりません(これを読んだだけでは、できません)。

ステムはステム自体に取り付けられているボルトと、ステアリングコラムのいちばん上にある「トップキャップ」のボルトをゆるめます。

今回はステムの上にコラムスペーサーがひとつありましたので、まずはそれを抜いて、続いてステムを抜きます。さらに、ステムの下にあったコラムスペーサーを1枚抜きます。ちなみにこのコラムスペーサーは、高さ10mmです。

そしてステムを戻し、コラムスペーサーをステムの上に取り付けて、ステムとトップキャップのボルトを締めれば、ひとまず作業は終わりです。

以上で、ステムの高さを変える仕組みはおわかりいただけたかと思います。

写真左は、CYLVA F24のステムをもっとも高い位置にセットした状態です。そして写真右が、もっとも低い位置にセットした状態です。コラムスペーサー3枚分、高さが変化しています。

ちなみに、ハンドル高をいちばん低い位置にセットすると、上に写真のようにコラムが余ります。「もうこれ以上高い位置にはしない!」ということであれば、一度フロントフォークを抜いて、余っている部分をカットすることもあります。ただし、カットしてしまえば当然、元には戻せません。

コラムスペーサーを入れ替える以外に、ステムの上下をひっくり返したり、ステム自体を交換するということも可能です。

ステムにも様々な長さや角度があります。長さ60mmのステムもあれば、110mmのステムもあり、だいたい10mm刻みで販売されています。

また、上の写真にあるように、ステムの上下をひっくり返して使うことも可能です。先ほどのCYLVA F24の例で「いちばん低い位置にセット」と紹介した状態でも、ステムの向きは購入時と同じままの「上向き」でした。ステムをひっくり返せば、もう少しハンドル高を下げることができるわけです。

ちなみにロードバイクの場合は、初めからステムが下向きに取り付けられていることが多くなっています(自転車のフロントフォークには“キャスターアングル”が付いているので、前下がりになるわけではありません)。

いずれにしても、パーツ代や工賃は要しますが、コラムスペーサーを入れ替えて高さを調節しただけではしっくりこない……という場合は、ステムの交換も視野に入ってくるでしょう。「こんなものか」と諦めないで、ぜひサイクルショップに相談してください。

また、シティサイクルでは、今回紹介したものとは別の「スレッド」という形式のステアリングコラムが使われていることが多いのですが、こちらもハンドルの高さ調整は可能ですから、サイクルショップに相談してみましょう。

関連記事: 自転車の達人に「クロスバイク乗りのための適切なサドル高」について聞いてみた – BRI-CHAN

●今回使用した自転車 CYLVA F24(シルヴァ F24)
価格 52,800円(税別)
製品情報 https://www.bscycle.co.jp/items/commuting/greenlabel/cylva/index.html
※3年間盗難補償付き

車両提供:ブリヂストンサイクル
技術協力:ドゥロワー・ザ・バイクストア

text&photo_SUGAI Gen(CyclingEX

協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社