自転車のオーバーホールってどんなことをするの?

自転車に乗る機会が減ってしまい、いわば放置状態となってしまっている自転車。もしくは、毎日の通勤・通学などで酷使されて「乗りっぱなし」の自転車。どちらにも必要なのは、もちろんメンテナンスです。今回は、自転車のメンテナンスの中でも比較的大がかりな「オーバーホール」についてお話ししましょう。

写真と文:山路篤(ドゥロワー・ザ・バイクストア)

オーバーホールとは

【オーバーホール(英語: Overhaul)】

一定の使用期間を経た機械・エンジンなどを分解して検査・修理すること。

三省堂大辞林

このように、オーバーホールとは、部品単位まで分解してきれいに洗浄し、再度組み立てを行ってリフレッシュする作業を表します。

一般的には、通勤や通学など短距離ライド中心のケースでは、最低で「2年に1回」程度、レースなどで酷使するスポーツサイクルでは「半年から1年に1回」の頻度で行います。

オーバーホールを行う大きな理由は、乗車することによって必ず消耗してしまう「消耗部品」を一定期間で交換し、リフレッシュすることで正しく、安全に乗車できる状態にするのはもちろんのこと、消耗部品の定期的な交換を怠って本来なら長期に渡り使用することができる耐久部品までもが著しく欠損してしまうことを防ぐ、予防の意味合いもあります。

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ここでは、当店で行っているオーバーホールを例に、「オーバーホールではどんなことをしているのか」をご紹介したいと思います。

オーバーホールにもいくつかのステータスが存在し、メカニックが自転車の状態に応じて判断を行い、下記のように3段階くらいに分類して作業を行います。

  1. 部分オーバーホール
    主に3ヶ月から半年の使用後に行うもので、消耗部品のチェックと各部品のネジ固定トルクの確認、および洗車等が行われます。
  2. ハーフオーバーホール
    主に半年から1年の使用後に行うもので、部分オーバーホールの内容を含み、必要に応じて消耗部品の交換や修理、および一部の部品を分解して洗浄、組立が行われます。
  3. フルオーバーホール
    主に1年から2年の使用後に行うもので、全ての部品をフレームから取り外し、分解して洗浄、組立が行われ、新品時の性能に極めて近い状態に戻す作業が行われます。

今回は、クロスバイクユーザーが行うオーバーホールとして、費用対効果のバランスに優れる「ハーフオーバーホール」について詳しくみていきましょう。

まずは状態の確認と洗車から

ハーフオーバーホールとしてショップに持ち込まれた自転車は、最初に状態の確認と洗車が行われます。

お客様が感じていらっしゃる不具合などについて、あらかじめヒアリングを行いますが、お客様自身が症状に気づいていないことも少なくありません。まずは作業前の状態確認が極めて重要です。洗車することで各部品がキレイになり、洗車前にはわからなかった問題が見つかることがあるのです。

いきなり分解から始めてしまう方もいらっしゃいますが、症状の確認と作業前の事前点検、および洗車後の確認で、問題点の原因の仮設をたててから作業プランを立てていく方が、二度手間になりません。結果的に費用も安く収まりますから、事前に丁寧な見積もりをしてくれるショップとお付き合いすることをおススメします。そういう意味では、自転車を購入したショップが、最もその自転車の状態を理解していることになりますので、いつでも相談できる範囲でよいショップを見つけることが重要だと思います。

洗車が終わり、いよいよ原因と問題個所の抽出が終わった自転車は、問題のあるところを分解し、必要に応じて消耗部品を交換します。とくに安全面でも極めて重要なのが、ブレーキ類、ワイヤー類、そしてチェーンです。

ブレーキパッド

ブレーキパッドはゴムでできています。特に梅雨時期の雨や湿気の多い状態での乗車が続いた場合、晴れた状態での乗車よりも早くブレーキパッドが消耗してしまいます。

ブレーキパッドにある溝がなくなる前の早めの交換をおススメします。

ワイヤー

ワイヤーとは、主に鉄やステンレス鋼を束ねて「より線」にしたものです。長期にわたる使用でサビが発生することで作動不良を引き起こすばかりか、ちぎれてしまうことも。自転車はブレーキと変速機をワイヤーで引っ張って動作させていますので、もしワイヤーが切れてしまったら……考えるだけでも恐ろしいですね。切れる前に早めの交換をおススメします。

チェーン

最後にチェーンです。チェーンは主に鉄で出ており、オイルによってコーティングされて、スムーズに動作しています。外装型変速機が使われているスポーツバイクの場合、チェーンがむき出しになっていますから、オイル切れによってサビを引き起こすだけでなく、チェーンがどんどん削れていくことで、チェーンが伸びた状態になっていきます。その場合、ギアとの噛み合いが悪化し、滑ってしまったり、最悪の場合はちぎれてしまうこともあるのです。チェーンはおおよそ3,000㎞で交換とされていますが、クロスバイクの場合はおおむね2年くらいが交換の目安だと思います。

重要な部品以外ですと、次のような部品もいわゆる消耗品です。性能はもとより、見た目も含めてリフレッシュされることをおススメします。

タイヤ・チューブ

タイヤやチューブはゴム製品です。紫外線や水分にさらされることによって加水分解を引き起こし、乗っていなくても消耗してしまう代表的な部品と言えます。溝がすり減ってしまっているものやヒビが発生してしまっているものは、必ず交換しましょう。実はチューブもタイヤ内で擦れて、すり減っていきます。2年に1回が交換の目安です。

グリップ

こちらも主にゴムが使用されています。最近では触り心地の柔らかいタイプが増えていますが、紫外線や水分にさらされることでベタベタしたり、ボロボロになったりします。グリップは種類やサイズ、カラーもバリエーションが豊富な部品のひとつですから、好みに応じて定期的にリフレッシュしましょう。

ボルト類

じつはここも気になるポイント。多くはサビて痩せてしまいます。また、ネジは締めることで伸ばされ続けていますで、徐々に伸び切ってしまう事により固定力が低下していく消耗部品なのです。オーバーホールの際に、くたびれたネジを交換しましょう。この際に、できればステンレス製のネジに交換することをおススメします。強度も上がり、なによりサビに強くなりますから、安全性だけでなく見た目もリフレッシュできます。


いかがでしょうか? 実際にそれぞれのオーバーホールには必要な部品だけでなく、作業工賃も発生します。思ったよりも少々高額になるかもしれませんが、実際には定期的なオーバーホールをしない自転車の方が、2年、3年というスパンで考えたときにメンテナンス費用は相対的に高額になります。つまり、なんでこんなになるまで……という事態になる前に、お金をかけるところはしっかりかけて、安全で快適なサイクリングを担保した方が幸せということなのです。

決して安くないスポーツバイクを手に入れたら、お手入れにもしっかりと費用と手間をかけてあげたほうが、より永くお使いいただけるのは間違いありません。

購入から2年以上の自転車にお乗りの方は、ぜひ一度、お近くのサイクルショップでオーバーホールについて聞いてみてください。

text&photo_Andrew Yamaji(drawer)

【講師紹介】

山路 篤(やまじ・あつし)

「drawer(ドゥロワー)」代表。工具メーカー、完成車メーカーを経て2010年に自転車業界に特化した人材育成を手がける「drawer(ドゥロワー)」を設立。2016年12月に「drawer THE BIKE STORE」を神奈川県大和市にオープン。BRIDGESTONE ANCHORやBRIDGESTONE GREEN LABEL(CYLVA、CHERO、ORDINA)の取り扱いあり。

・drawer(ドゥロワー)
リンク: drawer THE BIKE STORE- ドゥロワー ザ・バイクストア – | – ドゥロワー ザ・バイクストア –


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