坂道はお嫌いですか? クロスバイクで坂道をなるべくラクに登る方法とは

坂道と聞くだけで嫌悪感を抱いていませんか? 先日、近所にある高台の住宅地に向かう100mほどの坂道で、シティサイクルを押し歩きで登っている人に会いました。皆さんは坂道をどうやって登っていますか? 軽いギヤで回す?それとも重いギヤで踏む? 気合いでダッシュ?そもそも歩き?——クロスバイクなら、大丈夫です! 坂道の捉え方とラクに登る方法を解説していきます。

文:田代恭崇(2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表)

photo_リンケージサイクリング

BRI-CHANで以前「アシストがなくても大丈夫!? 24段変速のクロスバイクは坂に強い自転車なんです」という記事が掲載されていますが、今回はその内容をもう少し深掘りしてみたいと思います。

関連記事: アシストがなくても大丈夫!? 24段変速のクロスバイクは坂に強い自転車なんです – BRI-CHAN

坂道はなぜつらい

坂道を登るということは、自分の身体と自転車の重さに加え、坂を下ろうとする重力に逆らう運動です。そのため、平坦より脚の筋力への負担が大きくなります。そして坂道でスピードを維持しようとすれば、負担はさらに大きくなり、辛くなるのです。

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どれだけ脚への負担をおさえるかが、坂道をラクに登るためのポイントとなります。まずは、自転車の重量をなんとかしたいところ。電動アシストの力を借りない自転車で考えると、シティサイクルよりも、重量が軽いクロスバイクのほうが脚への負担が抑えられるのは明らかです。

ギヤの使い方を知ろう

以前にギアの使い方に触れた記事では、急な坂では前のギアをインナーに(軽く)し、後ろのギアを状況に応じて変える——と解説しました。

関連記事: 自転車の達人に聞いてみた!「クロスバイクのギアはどうやって使うの?変速段数が多いほうが速いの?」 – BRI-CHAN

時速10km以下で坂道を登るなら、後ろのギアは1速、2速、3速のいずれかを使います。4速以上の重たいギアの方がグイグイ登っている感じはありますが、脚のへの負担は大きくなる一方。さらにペース(回転数)を上げれば坂道を早くクリアできますが、そのかわりとても辛くなります。

軽いギアを選びペースを落とすことで、脚の筋力への負担を抑えられ、坂道をラクに登ることができるのです。

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ブリヂストングリーンレーベルの「CYLVA F24」では、前がインナーギア(1速)でペダルの回転数が1分間に70回転のとき、後ろのいちばん軽いギア(1速)では、時速8kmで走行できます。

「坂道では時速5〜7kmしか出せないよ」という方でも、心配は不要です。時速5〜7kmではペダル回転数が50回転ぐらいになり脚の筋力への負担は少し大きくなりますが、十分に許容範囲内です。

関連記事: 自転車の“達人”が解説!軽いギアでクルクル回すの?重いギアでゆっくり回すの? – BRI-CHAN

サドルの高さは合っているか

坂道では、サドルの高さもとても重要です。サドルの高さが適性の範囲内であることを確認しましょう。以下の関連記事を参考に、可能であれば、適正な範囲内の「標準」もしくは「高め」に設定してみてください。

関連記事: 自転車の達人に「クロスバイク乗りのための適切なサドル高」について聞いてみた – BRI-CHAN

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サドルが「低め」だと脚の関節角度が深くなり筋力への負担が大きくなり、さらに重力に対しての負担が大きいためダブルの負担がかかることになります。足つき性を重視した「低め」の設定から「標準」「高め」に設定することで脚の筋力への負担をおさえることができるのです。

サドルの座る位置をチェック!

みなさんは、サドルの座る位置など気にしたことはないと思いますが、ちょっとしたコツがあります。平らな道から坂道に入り勾配がきつくなると、前輪が前上がりの状態になります。平らな道のままの座り位置だと、坂道では重心が後ろに傾いてしまい、脚の筋力と脚の重さを効率よく使うことが難しくなるのです。

平らな道の座る位置 photo_リンケージサイクリング
坂道の座る位置 photo_リンケージサイクリング

坂道ではサドルの少しだけ前に座り重心を保つことがポイントです。そうすることで脚を効率よく使えて、筋力への負担も抑えることができ、ひいては坂道をラクに登れることにつながります。

立ち漕ぎってどうなの?

よく、ロードバイクに乗っている人が、坂道を立ち漕ぎして颯爽と登っているのをみかけますね。ラクに登るためには、立ち漕ぎが必要なのでしょうか?

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「私は速く登りたいわけじゃないから、必要ない」と思いがちですが、ラクに登る際にも有効な面があります。立ち漕ぎは全身の体重をペダルにかけることができるので、脚の筋力への負担を抑えられるのです。

一方で「ペースを上げるために脚の筋力を使いやすい」という側面もあります。つまり、表裏一体なんですね。また、サドルに座っていないのでバランスを崩しやすく、立つ位置関係を誤ると逆に脚の筋力への負担も大きくなってしまう難しい技術でもあります。

もうひとつ、坂道を全部立ち漕ぎで登ると「心肺への負担が大きくなる」ということも覚えておいてください。

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では、どうすればよいかというと、「立ち漕ぎ」と「座り漕ぎ」を混ぜます。そして立ち漕ぎをするときは、ペースを上げないことがラクに登るポイントです。

繰り返しになりますが、立ち漕ぎは実は難しい技術ですので、無理するくらいならば座り漕ぎだけで登るほうがよいでしょう。

まとめ:ラクに登るためには

では、クロスバイクで坂道をラクに登る方法について、まとめましょう。

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坂をラクに登るためには、脚の筋力への負担をどれだけおさえられるかが重要です。

前のギアをインナーにして勾配に応じて軽めの後ろギアを使いペースを上げないことが基本です。

サドルの高さをもう一度確認して、標準のよりも高めにすることをおすすめします。また、サドルに座る位置を少しだけ前にしましょう。

立ち漕ぎは有効ではありますが、無理して立ち漕ぎする必要はありません。

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きついと感じる坂道も、登り切った上にはいつもと違う景色が待っているかもしれません。ポイントを押さえて、急がずゆっくり登れば、きっとあなたでも大丈夫!

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[最終更新:2022/10/18]


田代恭崇(たしろ・やすたか)

神奈川県藤沢市、江ノ島のすぐ近くで体験型サイクリングプログラムを提供している「リンケージサイクリング」を主宰。2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表選手。

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協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社