クロスバイクやロードバイクなど、自転車を自宅で保管する際の駐輪場所(置き場所)は?と問われれば、多くの人は家の軒先、集合住宅ならば指定の駐輪場——と答えるのではないでしょうか。しかしスポーツ自転車を買ってから、専門店のスタッフや上級者に「室内保管がおすすめ」と言われて「そうなの!?」と驚いた人も少なくないはず。ではなぜ室内保管なのか、具体的にはどのように保管するのかを紹介します。
文:米山一輝
なぜ室内保管なのか?
そもそも、本当に室内保管が基本なのでしょうか?
これはスポーツ自転車歴25年筆者が断言しますが、本当です!
理由としてまず挙げられるのが、盗難対策です。ロードバイクやクロスバイクなどのスポーツ自転車は、一般に「ママチャリ」と呼ばれる軽快車(シティサイクル)よりも高価です。高級ロードバイクであれば今や100万円超えも珍しくありませんし、入門用グレードとされるロードバイクでも10万円前後、そしてクロスバイクでも約5万円と、決して安くはありません。
しかも男性なら片手で(下手をすれば指1本で)軽々持ち上げられるくらい軽量です。誰でもアクセスできる駐輪場や軒先にいつも置いておくのは、極端な話「どうぞ持っていってください」と言っているのに近い行為です。ちなみに筆者は初めて買ったスポーツ自転車(9万円のマウンテンバイク)を外置きにしていたら、1ヶ月たたずに盗まれて泣き寝入りした経験があります。その点室内保管は盗むこと自体が難しくなるだけでなく、標的が隠れて目をつけられにくくなり、二重の意味で盗難防止になります。
外置きは自転車が傷む
室内保管をおすすめするもうひとつの理由は、自転車の傷み防止です。むしろこちらの理由がメインかもしれません。
外置きが自転車を傷める要因としては、雨などの水分、そして外気中のホコリや砂、紫外線などに24時間さらされ続けることが挙げられます。駆動に関わる金属パーツに錆びが出ると当初の性能を発揮できなくなりますし、チェーンやギヤに異物が溜まってくると、動きが悪くなったり消耗が早まったりと、性能劣化を招くことになります。
クロスバイクやロードバイクのように軽量で高性能なスポーツ自転車は、その分各部の調整がシビアだったり、耐久性・耐候性を若干犠牲にしていたりします。ママチャリよりずっとデリケートなスポーツ自転車は、普通に使っているだけでも、性能を保つためには小まめなメンテナス(調整)は欠かせません。ましてや外置きは性能劣化を確実に早めてしまいます。
同じような理由から、盗難の心配が少ないとしても「ベランダ置き」はおすすめしません。やはり、室内よりは傷みやすくなってしまいます。
どこにどうやって置く?
自転車を室内のどこに置くかは、サイクリストにとっては永遠のテーマです。自転車専用のガレージや広い土間があれば悩む必要はありませんが、多くの場合はそれぞれの住宅事情に合わせて知恵を絞っています。玄関付近に置くことができれば出し入れがしやすく理想的ですが、十分なスペースがない場合は、廊下やリビング、書斎、その他の部屋に置くことになります。
室内保管の際は、ディスプレイスタンドやラックを用意すると便利です。スポーツ自転車(とくにロードバイク)はスタンドが付いていないことが多く、あっても安定性の低い片足スタンドがほとんどなので、保管時には専用の器具を使ったほうが確実です。シンプルな後輪車軸を挟み込むタイプであれば実売2,000円以下からありますし、保管だけでなく簡単なメンテナンスをする際にも便利です。
スタンド・ラックはさまざまなメーカーが販売していますが、国内ブランドであれば「ミノウラ」が幅広いラインナップで知られています。
リンク: ミノウラオフィシャルサイト
・後輪軸支持タイプ(DS-30BLT メーカー希望小売価格:税込2,860円)
・フレーム後ろ側を引っ掛けるタイプ(DS-532-600L メーカー希望小売価格:税込5,060円)
・車輪を乗せて挟み込み支持するタイプ(DSX-1 メーカー希望小売価格:税込3.850円)
・車輪を乗せて支持するタイプ(ウッドスタンド メーカー希望小売価格:税込5,940円)
写真提供:箕浦
ちなみに、自転車を置く場所には何か敷物を置いている人が多いです。サイクルトレーナー(ローラー台)用のマットや、キッチンマット、ラグ、食器棚シートなどで、床の汚れを防止することができます。
複数台ならラックで省スペース
ラックは若干値が張りますが、床置きせずに縦に置いたり高いところから吊るしたりと、スペースを有効活用できる製品があり、室内保管の台数が2台以上になった際に便利です。
中には、材料や部品を揃えてラックを自作する強者も。ちなみに車輪をフックに引っ掛け吊すタイプは一見すると不安かもしれませんが、自転車の車輪は数十kgの人間を乗せて走り回るのに耐える強度があり、自転車本体の自重程度ではびくともしません。
ディスプレイスタンドやラックなど、さまざまな室内保管の方法を紹介してきましたが、もちろんの前提として、使用後の自転車を室内に持ち込む前にはタイヤやフレームを軽く拭くなどして、汚れを落としてからにしましょう。結果としてこまめに自転車を綺麗にしておくことができ、自転車の寿命を伸ばすことにつながります。
室内保管は、愛車と生活空間を共にすることになります。そうして気付くのは、スポーツ自転車の造形の美しさではないでしょうか。乗らない時間も含めて愛車との関係性がより深くなる。そんなところも室内保管の良さかもしれません。
これからロードバイクやクロスバイクなどのスポーツ自転車を購入する人はもちろん、今は屋外で保管しているという人も、ぜひ室内保管を検討してください!
text_YONEYAMA Ikki
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協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社