ノーメンテはパンクのリスク!? リムテープの役割と交換の重要性

自転車のタイヤを自分で交換したことがある人は、ホイールのリムにナイロンやゴムでできた帯のようなものが巻かれていることに気づくでしょう。これはいったい、何のためにあるのでしょうか。

この帯状のものは「リムテープ」と呼び、多くの自転車で使用されています。今回は、リムテープがどんな役割を果たしているのか、紹介しましょう。アドバイザーは前回に引き続き、BRI-CHANのメンテナンス記事でおなじみ「drawer(ドゥロワー)」の山路篤さんです。

リムテープが何のためにあるのかを知るために、リムテープがないリムの姿をお見せしましょう。

このように、自転車のリムには「リム穴」と呼ばれる穴が空いています。写真を見るとわかるかと思いますが、この穴の中でスポークが固定されているのです。ホイールを組み立てるときには、この穴からニップルを挿入して、スポークと連結します。リムテープは、この穴を塞ぐために存在しているのです。

もしリムテープがないと、どうなるでしょうか。タイヤのチューブに空気が充填されてふくらむと、チューブがリム穴に吸い込まれたような状態になり、リム穴がチューブを傷つけ、パンクしてしまいます。つまり、リムテープがないと、チューブに穴が空いてパンクしてしまうのです。

リム穴を永遠にふさいでしまうと、今度はスポークの張り替えなどができなくなってしまいます。そこで、簡単に装着し、簡単に交換できる「リムテープ」を用いるというわけ。

※一部のホイールはリム穴がない場合もあります。そのようなホイールではリムテープが不要です。

残念ながら、リムテープは経年とともに劣化していきます。どんなふうに劣化するかというと——

このように、リム穴に吸い込まれたような状態になったり、ずれたりします。劣化が進むと、せっかくリムテープがあってもリム穴のエッジがチューブにダメージを与えてしまい、パンクにつながることがあります。

そこで、リムテープも定期的に交換する必要があるのです。交換の頻度について一概に言うことはできませんが、2年に1回交換するつもりでいたほうがよいでしょう。タイヤやチューブを交換する機会にリムテープをチェックして、先ほどのようにリム穴がくっきり見えていたり、リムテープがずれてしまっているようだったら、要交換です。自転車屋さんにパンク修理を依頼した際に「リムテープを交換したほうがよい」と言われるケースもあります。

なお、リムテープにはシティサイクルなど空気圧が低めの自転車向けのものと、ロードバイクなど空気圧が高い自転車に対応したものとがあります。スポーツサイクルの場合は、サイズだけではなく高圧対応かどうかもチェックしましょう。余談になりますが、ネット通販で売られている激安ロードバイクの中には、なぜかシティサイクル用のリムテープが使われているケースがあり、誰がどうやってもすぐパンクする——という、嘘のような本当の話もあります。

「drawer(ドゥロワー)」代表。工具メーカー、完成車メーカーを経て2010年に自転車業界に特化した人材育成を手がける「drawer(ドゥロワー)」を設立。2016年12月に「drawer THE BIKE STORE」を神奈川県大和市にオープン。BRIDGESTONE ANCHORやBRIDGESTONE GREEN LABEL(CYLVA、CHERO)の取り扱いあり。

・drawer(ドゥロワー)
リンク: drawer THE BIKE STORE- ドゥロワー ザ・バイクストア – | – ドゥロワー ザ・バイクストア –

text_SUGAI Gen(CyclingEX) photo_SUGAI Gen , drawer THE BIKE STORE

協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社