久々の「ブリヂストンサイクル名車紹介」シリーズ、今回登場するのは、同社60周年記念モデルのひとつとして2010年2月より発売された「WEDGEROCK(ウェッジロック)」です。

60周年記念の第一弾として発表されたのは「ORDINA(オルディナ)」、「JOSIS WGN(ジョシスワゴン)」、そして今回紹介するウェッジロックでした。
当時公開されていたウェッジロック専用のWebサイトには「MAMA-CHARI for MEN」というコピーが掲げられていました。その心は?
発表当時のプレスリリースには、次のように書かれています。
通勤・通学用の自転車として軽快車(いわゆる“ママチャリ”)が、広く普及していますが、単に便利な移動の手段として使われてきていました。
そんな中、こだわりを持って自転車を選んで欲しいという、作り手からのメッセージも含め、ワイルドでエッジの効いたデザインで、持つ喜びや乗る楽しさを得ることができる自転車を開発しました。
ママチャリの持つ‘実用性’とクロスバイクやBMXの‘力強さ’を持つ、まったく新しい、男性のための自転車です。
情報源: 頑丈でワイルドな、ちょっと先行く街乗り自転車 WEDGEROCK(ウェッジロック)新発売|ニュースリリース 2010 |ブリヂストンサイクル株式会社
60周年記念モデルは、世代や性別のターゲットを明確にしていたのが特徴で、ウェッジロックは若い男性向けの製品として投入されています。
さてそのウェッジロック、700Cモデルと27インチモデルがあり、ホイールサイズ以外に装備の違いなどもありましたが、共通して目を惹くのはなんといってもフレームデザインです。


いわゆる「ママチャリ」で多くみられるループ型フレームが折れ曲がったようなフレームは、同社により「Wウェッジフレーム」と名付けられていました。よく見るとワイヤーはダウンチューブに内蔵されており、下部の曲がったところから再び外に出ています。




ブラックで引き締まった印象のハンドルバーはプロムナード型で、ゆったりとした乗車姿勢をとることができました。700Cモデルのハンドルステムは、BMXっぽいデザインとなっているのも特徴です。
そしてヘッドライト、フロントキャリア(27インチモデルはバスケット)、リアキャリア、前後のドロヨケを標準装備し「ママチャリ」的な実用性が与えられていました。




当時ブリヂストンサイクルが東京・青山に構えていたショールーム「バイクフォーラム青山」に展示されていた実車を見たときの印象は「写真で見るよりずっと、まとまりがよい自転車だな」というもの。たしかに、フレームが折れ曲がったデザインは個性的なのですが、それが悪目立ちすることなく、実に「まっとう」「よいもの」といった雰囲気にあふれていました。



発売当時の価格は、内装3段変速の700Cモデルが39,810円(税別)、同じく内装3段変速の27インチモデルが36,952円(税別)。発売期間は2010年2月〜2013年モデルまでと、決して長くはありませんでした。
現在のラインナップにウェッジロックの直接の後継はありませんが、強いて言えば「STEPCRUZ(ステップクルーズ)」のスタンダードモデルが、700Cモデルと27インチモデルが用意されている点からも、近い存在とは言えるでしょう。

リンク: ステップクルーズ | [街乗り自転車]通学・通勤向け自転車 | 自転車 | ブリヂストンサイクル株式会社
text_SUGAI Gen(CyclingEX)、製品画像_ブリヂストンサイクル
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社