BRI-CHAN編集部に配備されて2年と4ヶ月が経った「MARKROSA 7S」。この2年と4ヶ月という時間は短いように思えても、自転車にとっては長いもの。パッと見た印象ではキレイでも、実はいろいろなところが劣化しているのでした。そこで今回は、このMARKROSA 7Sのリフレッシュを目的に、メンテナンス作業をプロにお願いしました。
少々くたびれたMARKROSA 7S、その実態は!?
2019年の2月にやってきたMARKROSA 7Sの、2021年6月時点の姿が上の写真です。明らかに「壊れた」と感じるところは一切なく、もちろんパンクも経験していません。ただ、屋根付き駐輪場保管ゆえに見た目が少々くたびれてきているのは事実です。
このまましばらく乗れそうには思うのですが、過去にオーバーホールの記事なども掲載している手前、このへんでプロに自転車を見てもらおうと考えました。そこで、毎度おなじみドゥロワー ザ・バイクストアの山路篤さんの登場。MARKROSA 7Sの点検、そしてリフレッシュ作業をお願いしました。
作業内容とコメントを山路さんにいただいているので、紹介します。
※以下、かぎ括弧のコメントは山路さん。
リフレッシュ作業の詳細
ヘッドパーツのガタの調整、およびグリスアップ
「ヘッドパーツのガタつきはありませんでしたが、ロックナットが完全に緩んでいました。内部のグリスもほとんどない状態でしたので、洗浄して新しいグリスを塗布して再組立てを行っています」
クランク(BB)のガタの調整、およびグリスアップ
「クランクやBB(ボトムブラケット)にガタつきはありませんでした。クランクを取り外し、BB軸の回転は極めて重いので分解して洗浄。その際、ベアリングリテーナーからいくつかの金属片が出てきました。金属片を除去後、耐水性に優れるリチウム系グリスでベアリングの保護を行い、再組立て。クランクは見違えるほどクルクル回ります」
チェーンの交換
「防錆タイプのチェーンでしたが、さすがに錆が発生していました。チェーンの長さが2コマ分長かったので、新たな防錆タイプのチェーンに交換を行う際に、適正な長さに切断しています」
チェーンが錆で真っ赤‥‥というわけではないので防錆チェーンの効果は発揮されているようですが、それでもやはり定期的な交換は欠かせないようです。
変速ケーブルの交換と変速調整
「変速ケーブルはハウジングにひび割れが見られました。またインナーケーブルはスチール製のため、白錆が発生していましたので、新品のインナーケーブルに交換。ハウジングは全体感を見てガンメタ(Jagwire製)としました。なお、MARKROSA 7Sのシフトケーブルは一般的なシマノの外装変速機用とは異なるものなので、注意が必要です。メーカーからは、グリップシフトとセットになった専用の補修パーツが発売されています」
ブレーキパッド(前輪)のチェックと交換
「ブレーキパッドは80%消耗のため、吉川製のアルミリム用全天候型(写真右)に交換しました」
ローラーブレーキのグリスアップ
「一般的にローラーブレーキは極端な洗浄をされることは少ないと思いますが、今回は超音波洗浄機で徹底洗浄しました。その後、シマノ製ローラーブレーキ用グリスを使用してメンテナンスを行っています」
リアハブのガタ付き確認
左下/割れたスポークプロテクター 右下/新品に交換
「リアハブのガタつきの確認を行いましたが問題はありませんでしたので、消耗したグリスの洗浄と新しいグリスの注入で再組立てを行っています。派手に割れているスポークプロテクターはシマノ製の専用品に交換してリフレッシュしました」
ブレーキケーブルの交換
「定期的な交換が推奨されている、ブレーキケーブル。今回はステンレス製インナーケーブルに交換し、ハウジングはシフトケーブルと合わせてガンメタ(Jagwire製)としています」
今回作業「しなかった」ところ
ハブダイナモのグリスアップ
「今回、ハブダイナモに関しては外観上もかなりきれいであったこと、またベアリング軸受けのガタ等が全くなかったことから作業を行いませんでした。もしやるとすれば、作業内容は後輪ハブと同じ内容となります」
リアスプロケット
「同部品は錆がかなり発生していますが、錆自体は本体動作に大きな影響は及ぼさず、また消耗限度にも達していませんでしたので、そのまま使用しています」
その他、ハンドルグリップやタイヤなど、消耗が進んでいなかった部品はそのまま使用しています。
リフレッシュ完了、違いは体感できるか!?
というわけで、ドゥロワー ザ・バイクストアでのリフレッシュ作業を終えて戻ってきた、MARKROSA 7S。
自転車全体を離れたところから眺める分には、リフレッシュ前と後の違いは、とくにわかりません。
もちろん、近寄ってみれば交換したばかりのパーツが目立ちます。とくにチェーンがきれいなのは、見た目にもうれしいです。
そして、実際にMARKROSA 7Sを走らせてみて、もっともリフレッシュ作業の効果を感じられたのが、ここでした。
写真で見せるとなると、ごらんのとおり「クランク周り」ということになるのですが、クランクがきれいになったとか、そういうことではありません。とにかく回転がスムーズに感じられるのです。日常的に使われる街乗り自転車は、そもそも工場出荷時点でクランクがきつく締められて回転が重いことが多いのですが、今回の作業でリフレッシュ&再調整がなされたことで、乗ってわかるくらいにスムーズになったのです。
もちろん、クランクだけではなく、新しくなったチェーンやグリスアップされたリアハブなど、さまざまな要因が重なって「スムーズ!」と感じるのでしょうけど。
一方、今回の作業によって年月相応の汚れや劣化、サビなどは見受けられたものの、クランク軸の中心に位置するBB(ボトムブラケット)や前後のハブ、そしてヘッドパーツといった重要な部品にガタが生じていなかったことも見逃せません。「あ、いいものなんだな」というのを、改めて知ることができました。
いい自転車を、ちゃんと手入れして使う——そんな基本の大切さを、今回のリフレッシュ作業で改めて認識できました。みなさんもぜひ、自転車は自転車店でしっかりメンテナンスして、長く使ってください!
●今回使用した自転車:MARKROSA 7S(マークローザ 7S)
価格 26インチ・430mmサイズ:46,800円(税別)、27インチ・450mmサイズ:47,800円(税別)
製品情報 https://www.bscycle.co.jp/items/bicycle/greenlabel/markrosa/
※3年間盗難補償付き
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今回の作業と担当コメント:山路 篤(やまじ・あつし)
「drawer(ドゥロワー)」代表。工具メーカー、完成車メーカーを経て2010年に自転車業界に特化した人材育成を手がける「drawer(ドゥロワー)」を設立。2016年12月に「drawer THE BIKE STORE」を神奈川県大和市にオープン。BRIDGESTONE ANCHORやBRIDGESTONE GREEN LABEL(CYLVA、CHERO、ORDINA)の取り扱いあり。
・drawer(ドゥロワー)
リンク: drawer THE BIKE STORE- ドゥロワー ザ・バイクストア – | – ドゥロワー ザ・バイクストア –
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協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社