握り方から変速、ブレーキングまで!ドロップハンドルのメリットと使い方を紹介します

ロードバイクといえば、大きく曲がった「ドロップハンドル」が印象的ですね。そして、多くのロードバイクにはブレーキ操作と変速操作が一体になったレバーが採用されています。このような装備にはどんなメリットがあるのでしょうか。また、どのように使うのでしょうか。

ロードバイクに装備されているハンドルといえば、カーブを描きながら下方に伸びた「ドロップハンドル」。その呼び名は知らなくても、ロードバイクと聞けばこのハンドル形状を思い浮かべる人がほとんどでしょう。

シティサイクルやクロスバイクなど、世の中の多くの自転車に採用されているのが、ほぼ真っ直ぐの形状をした「フラットハンドル」です。中には手前側に引いた形状だったりとバリエーションがありますが、少なくとも「どこを握ればよいか」は簡単に想像が付きます。

対してドロップハンドルは、こんな形状をしています。さらには、得体の知れない——というのは言い過ぎかもしれませんが、知らない人からすれば、何をどう使えばよいのか見当もつかないレバーが備わっています。

そんなドロップハンドルと独特なレバーには、多くのメリットがあるのです。

シマノ製デュアルコントロールレバー(STIレバー)について

メリットや使い方を紹介する前に、予備知識としてシマノ製の「デュアルコントロールレバー」(STIレバーとも呼ばれる)について紹介しておきましょう。日本の企業で釣具でもおなじみのシマノは、世界最大の自転車部品メーカーです。多くのロードバイクが、シマノ製の変速パーツ(コンポーネント)を採用しています。

そのシマノが「デュアルコントロールレバー」と呼んでいるのが、ドロップハンドルに取り付けられたこのレバーです。このレバーは、ブレーキ操作と変速操作が一体化しています。このデュアルコントロールレバーが登場する前、変速レバーはフレームの下側のチューブなどに取り付けられていて、わざわざ手を伸ばして操作していました。デュアルコントロールレバーによって、ブレーキ操作とシフト操作が手元で完結するようになったのです。

シマノのデュアルコントロールレバーでは、左右に2つずつレバーが備わっています。なお、この記事では各部を次のように呼び分けています。

※左側(写真奥側)のブラケットの色分けは割愛しました

レバーA(右側の大きなレバー)
レバーB(右側の小さなレバー)
レバーa(左側の大きなレバー)
レバーb(左側の小さなレバー)
ブラケット

おことわり:今回の記事では、シマノのロードバイク用コンポーネントで「電動式ではないもの」について紹介しています。

ドロップハンドルのメリット

さて、前置きが長くなりましたが、ドロップハンドルのメリットはズバリ「いろいろなところを握る(持つ)ことができる」ことです。

上の写真を見てもわかるとおり、ドロップハンドルには高低差があります。高い位置を握れば、上半身が起きてリラックスした乗車姿勢になりますし、低い位置を握れば前傾姿勢が強くなり、空気抵抗を減らすことができます。また、複数の場所を握れるということは、ときどき握る場所を変えることで、疲労を軽減することもできるわけです。

フラットハンドルは、基本的にはハンドルグリップ以外の場所を握ることはできませんから、同じ姿勢を強いられることになります。

例えば満員電車の中でも、ずっとポーズでつり革を握っているより、手を持ち替えたり、つり革ではなく手すりを握ったりすると、疲労感が減りますよね。椅子に座っているときも、自然と座る位置を直したりするものです。それと同じことが、ドロップハンドルにも言えます。

ドロップハンドルにはこのようなメリットがあり、長い距離を走ることが多いロードバイクでは当たり前の装備になっています。また、ツーリング車でもよく使われています。

ドロップハンドルの握り方

ドロップハンドルの握り方を、具体的に見ていきましょう。以下、この記事の説明はシマノのデュアルコントロールレバー(電動ではないもの)を前提としています。ハンドルの握り方そのものは、他メーカーのものでも同じです。

これからロードバイクを購入したい!と思っている方は、これを見ればだいぶイメージができるはずです。

ブラケット

先ほど紹介した「ブラケット」の部分を握るポジションです。このとき大きなレバー、つまり「レバーA」「レバーa」に指を2〜3本かけておくのがポイントです。先ほど紹介したように、シマノのデュアルコントロールレバーはブレーキ操作と変速操作が一体化していいます。レバーに指をかけておくことで、いつでもブレーキをかけることができます。

正面から見ると、このようになります。薬指と小指はハンドルにかけて、きちんと保持できるようにしましょう。

ハンドルというよりもデュアルコントロールレバーのブラケットそのものを握っていると言えます。ブラケットは高い位置にあるので、上体が起きてリラックスした乗車姿勢になります。

この「ブラケットを持つ」のが、基本形です。

ハンドルの下側(下ハン)

続いて紹介するのは、こちら。

「下ハン」などとも呼ばれる、ドロップハンドルの下のほうを握ります。この握り方でも、いつでもブレーキが操作できるように、レバーに指をかけておきましょう。

正面から見ると、このようになります。薬指と小指はハンドルにかけておき、しっかりと保持します。

ハンドルの下側を持ったときは前傾姿勢が強くなるので、空気抵抗を減らすことができます。また、この握り方のほうがブレーキレバーを強く引いたり、もしくは力を細かくコントロールしたりといったことがしやすいのも特徴です。長い・急な下り坂などでは、この「下ハン」が使えるとよいでしょう。

ただし、この握り方を活用する場合はとくに、レバーの位置が乗り手に合わせてしっかりと調整されている必要があります。

ハンドルの手前/ブラケットの上

ドロップハンドルのいちばん手前を握ったり、ブラケットのいちばん上のところを握るという使い方もあります。上体が起きて楽ですが、そのままではブレーキレバーを操作できないという大きな欠点があるので、実際に使用できる場面は限られます。スピードが出ないヒルクライムなどでは有効です。

補助ブレーキレバーがあればハンドル手前側も常用できる

ドロップハンドルのいちばん手前を握る方法は「楽だけどブレーキレバーが握れない」という欠点がありますが、ビギナー向けのロードバイクには「補助ブレーキレバー」が装備されていることがあり、この問題を解決してくれます。

これなら、フラットハンドルと同じように乗ることができますね。ただ、補助ブレーキレバーは制動力(止まる力)が少し弱いので、スピードも控えめにしてください。

ブレーキのかけ方

続いて、シマノ製デュアルコントロールレバーでのブレーキ操作方法を紹介します。

ブレーキのかけ方は、シンプルです。左右の大きなレバー(「レバーA」「レバーa」)を手前に引きます。いきなり強く引くとタイヤがロックして危険ですから、初めて乗る場合は安全な場所で効き具合を確かめましょう。

もちろん、ドロップハンドルの下の部分(下ハン)を持ったポジションでも使い方は同じ。左右の大きなレバーにかけた指を手前に引けばブレーキがかかります。ハンドルの握り方の中で紹介したように、下り坂では下ハンを使ったほうが、ブレーキをしっかりかけることができます。

ところで、日本で販売されている自転車の多くは、右側のレバーが前ブレーキ、左側のレバーが後ろブレーキとなっています。しかし、スポーツ自転車の世界では「左が前ブレーキ、右が後ろブレーキ」という組み合わせもあります。

実は、海外は「左前、右後ろ」が基本です。日本でも「左前、右後ろ」で販売されていたり、好みでそのようにしている人もいますから、他の人の自転車に乗せてもらうときは注意しましょう。

変速のしかた

続いて、いよいよ変速の操作方法を紹介します。

シマノのデュアルコントロールレバーでは、右側のレバーでリアの変速を、左側のレバーでフロントの変速を行います。

レバーの説明用に、もういちどこの画像を紹介しておきますね。

リアの変速:ギアを重くする

リアのギアを重くしていく(シフトアップする)ときには、右側の「レバーB」を内側に押します。

レバーBを押すとカチッという音とともに、クリック感があります。そのままペダルをこげば、チェーンが移動してギアが重たくなります。

前から見ると、このようになります。「レバーB」だけが内側に押されている様子がわかります。

リアの変速:ギアを軽くする

続いて、リアのギアを軽くする(シフトダウンする)方法です。右側の大きなレバー、つまり「レバーA」を内側に倒します。

「押す」というより「倒す」です。倒していくと、やはりカチッという音とともにクリック感があります。

レバーAを内側に倒すと、レバーBもいっしょにくっついていきますが、それで構いません。ペダルをこいでいけば、ギアが軽くなります。シマノのデュアルコントロールレバーでは、レバーAをカチッカチッカチッと深く倒して一気に3段軽くすることもできます。

フロントの変速:ギアを軽くする

ギアを軽くする(シフトダウンする)場合は、左側の小さなレバー、つまり「レバーb」を押します。

レバーを押すとクリック感があって、そのままペダルをこぐとチェーンが移動してギアが軽くなります。

前から見ると、このようになります。

フロントの変速:ギアを重くする

ロードバイクのフロント変速(前ギア)は、2段が一般的です。左側のレバーで変速操作を行います。

フロントギアを重くする(シフトアップする)には「レバーa」を内側に倒します。

「押す」というより「倒す」という感覚は、左右の大きなレバーに共通しています。

このように、レバーaを内側に倒します。レバーbもいっしょに倒れますが、それでOK。そのままペダルをこげば、チェーンが移動してギアが重くなります。

ちなみに、ギアの使いこなし方(選び方)については、今回の記事とはまた違ったテーマになりますので、過去の記事を参考にしてみてください。基本的な考え方は、クロスバイクでもロードバイクでも同じです。


ドロップハンドルのメリットから使い方、そしてドロップハンドルとは切っても切れない関係である「デュアルコントロールレバー」の操作方法を紹介しました。「あんなカタチのハンドルにどんな意味があるのか?」「どこを持つのか?」「どうやって使うのか?」といった疑問に対して、ある程度の「見当」はついたでしょうか。

とはいえ「押す」「クリック感」「倒す」などと言われても、やっぱりなんのことだかわからない——という方も多いかと思います。では、ロードバイクに乗っている人は、最初はどうやって使い方を覚えたのか?

基本的には、ロードバイクを買ってショップで納車される時に、現物を触りながら(他のさまざまなことといっしょに)説明を受けます。もちろん、そのような納車説明を受けることができるのは「リアル店舗」で買った場合です。「ドロップハンドルって、どう使えばいいの!?」というその疑問や不安、実は「リアル店舗」で購入すれば解決なのです!

ドロップハンドルに「なんか怖い(怖そう)」という印象を抱いている方もいるかもしれません。しかし、きちんと使い方を教わって慣れることができれば、大丈夫。 不安な気持ちは、リアル店舗で取り除きましょう!

text&photo_SUGAI Gen(CyclingEX

協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社