ロードバイクは「普段使い」できるか、または「普段使いできるロードバイク」について

街中やサイクリングロードをさっそうと走り抜ける、ロードバイク。かつてはスポーツのための道具でしたが、今ではロードバイクで自転車通勤する人を見かける機会も多くなりました。しかし、あの独特な前傾姿勢やタイヤの細さなどから「ロードバイクって本当に普段使いできるの?」と疑問・不安に感じる声もよく聞きます。ロードバイクは本当に普段使いできるのか、ロードバイク以外の自転車と比較しながら見ていきましょう。

ロードバイクは普段使いできる!(多少の条件はあり)

いきなりですが、結論を先に書いてしまうと、ロードバイクは「普段使い」できます! しかし、どんなロードバイクでも、どんなシチュエーションでも普段使いが可能かというと、そうではないのも事実です。

では、詳しく見ていきましょう。

ハンドル

街乗りで使われるスポーツ自転車の代表格は、やっぱりクロスバイク。クロスバイクは横方向にまっすぐな「フラットハンドル」を装備していることがほとんどです。一方のロードバイクは、ドロップハンドルを装備しています。

ドロップハンドルの形状にはメリットが多く、ドロップハンドルだからと言って街乗り・普段使いに向かないということはありません。ただし、次に紹介するブレーキ&シフトレバーの使い方には、慣れる必要があります。

ブレーキ&シフトレバー

ロードバイクは、ハンドル形状だけでなくブレーキレバーやシフトレバーの形状も独特です。

ロードバイクでは、ブレーキレバーとシフトレバーが一体になったものを、前傾した姿勢で操作することになります。まったくのビギナーであれば、ちょっと怖さを感じてしまうのもしかたがありません。

ロードバイクの補助ブレーキレバー(ANCHOR RL3 DROP CLARISモデル)

しかし、ビギナー向けのロードバイクでは、フラットハンドルと同じような感覚で使える「補助ブレーキレバー」が装備されていることもあります(例:ANCHOR RL3 DROP)。

ロードバイクビギナーであれば、普段使いに限らず、補助ブレーキレバーを搭載するロードバイクを選ぶというのはアリです。

ドロップハンドルとブレーキ&シフトレバーの使い方については、下記のリンク先で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

乗車姿勢

ロードバイクはクロスバイクと比べると、乗車姿勢が前傾したものとなっています。そこにドロップハンドルの形状が相まって「乗りにくそう」と感じてしまいがちです。

レース向けロードバイクでは深い前傾姿勢が求められる

レースで使われるロードバイクは、風の抵抗を減らしたり、力を出しやするために、深い前傾姿勢が取れるように設計されています。逆に言えば、上体が起き気味のリラックスした乗車姿勢は取りずらくなっています。

一方、ビギナー向けやロングライド(長距離のサイクリング)を楽しむためのロードバイクは、比較的前傾姿勢がゆるめに作られています。

例えばANCHORのロードバイクなら「アクティブライン」に分類される「RL6D」は前傾がゆるめ
photo_ブリヂストンサイクル

ブリヂストンの「ANCHOR(アンカー)」を例に出すと「レーシングライン」に分類されているロードバイクは前傾がきつめで、「アクティブライン」に分類されているロードバイクは前傾がゆるめです。自転車通勤などにロードバイクを使いたいなら、一般的にはアクティブラインのほうが向いているでしょう。

タイヤ

ロードバイクのタイヤは、クロスバイクに比べれば細いものがほとんどなので、そこに怖さを感じる人も少なくありません。

タイヤが細いと中に入る空気の量が少なくてクッション性が低く、段差などの衝撃をモロに受けることになります。こればかりはしかたがないので、路面状況に注意しながら走る必要があります。すごく舗装が荒れたところや未舗装路もガンガン走るんだ!ということであれば、クロスバイクや街乗り向けMTB(マウンテンバイク)などが無難です。

ただ、ここ数年でロードバイクのタイヤもだんだんと太くなってきていますし、舗装された街中で乗る分には、とくに不便はないはず。むしろ、転がりの軽さに感動すること間違いなしです。

サドル

スポーツ自転車のサドルはただでさえ薄くてお尻が痛くなりそうなのに、ロードバイクのサドルはシティサイクルと比較すると驚くほど薄いですよね。

実際のところ、慣れるまではお尻が痛く感じることもあるかもしれません。しかし、自分の身体に合ったサイズで、サドルの高さなども適切に調節されていればさほど心配はいりません。サドルは交換可能なパーツですから、お金はかかりますが「別のサドルを試してみる」というのも選択肢のひとつです。

スタンドやカゴなどの実用装備

スポーツ自転車では、スタンドが標準装備されておらず、後付けする必要があることも珍しくありません。ブリヂストンのクロスバイクはスタンドを標準装備していることが特徴ですが、さすがにロードバイクにはスタンドがありません。

ロードバイクの場合は、スタンドを後付けすることができないものがほとんどです。自転車通勤をする場合、勤務先の駐輪場がスタンドがないと駐輪できないのであれば、スタンドが取り付けられる、もしくは最初から備わっているクロスバイクやシティサイクルを選ぶことになります。買い物などのちょっとした移動用途でも、スタンドが備わっているほうが何かと便利なのは確かです。

クロスバイクに前カゴを取り付けている人も多い

ロードバイクには付いていないモノといえば、前カゴ(フロントバスケット)も挙げられます。クロスバイクなら後付けしたり、場合によっては標準装備されていますが、ロードバイクだとそうは行きません。「前カゴがないと絶対イヤ!」という人は、クロスバイクのほうが向いています。

フロントのチェーンリングカバー

細かい話ですが、スポーツ自転車ではフロントギアの歯(チェーンリング)が剥き出しになっていることがあります。ロードバイクの場合は、ほとんどの場合は剥き出しです。

クロスバイクの場合は、製品にもよりますがチェーンリングにカバーが備わっているのが主流です。カバーがないよりはあったほうが、ズボンの裾が汚れにくいのは確かです。

その他の扱いやすさ

普段使いするということは、下の写真のように屋外の駐輪場を利用する機会も多いでしょう。

これがもし利用者の多い駐輪場であれば、隣の自転車がぶつかってくるかもしれません。

また、どんなに頑丈なロックを使っても、駐輪場に置いている間の盗難リスクはゼロではありません。

駐輪時に限らず、普段使いしていると「ぶつけた」「倒した」「雨に濡れた」といったことは少なからずあります。そして、超軽量カーボンフレームのロードバイクなどは、倒しただけでフレームにヒビが入ってしまうこともあります。

そういったことを考えると、あまり高級なロードバイクを普段使いに使うのは、やはり「もったいない」というか、気が引けてしまいます。

車体&走りの軽さ

ここまで読んで、ロードバイクには普段使い・街乗りに向かない面もあるな……と感じた方もいるかと思います。しかし、それでもロードバイクに乗るメリットは、なんといっても車体の軽さ、そして走りの軽さです。

クロスバイクは、重量が11kg前後なら十分軽量と言えます。先日ブリヂストンから発表された「XB1」も、ライトやスタンドなど標準装備品込みで11kg台ですから、なかなかの軽量です。

一方ロードバイクの「ANCHOR RL3 DROP」は、ペダル付きの状態で10kg程度(サイズによっては10kg以下)です。この軽さは、持っただけでなく走っているときにも実感できます。その軽快感は、きっとやみつきになることでしょう。

普段使いにも向くロードバイクとは

ロードバイクはオンロードを軽快に走行するための自転車であり、実用性を第一に作られているわけではありません。しかしここまで見てきたように、普段使いに適さないかというと、そんなこともありません。

ロードバイクを普段使いしたいのであれば、「普段使いに適したロードバイク」を選ぶのが近道です。具体的には、ビギナー向けに設計された、ある程度気兼ねなく使えるアルミフレームのエントリーグレードがおすすめです。

ANCHOR RL3 DROP CLARISモデル photo_ブリヂストンサイクル

ANCHORのRL3 DROPは、ロングライド向け上位モデルの設計を受け継ぎ、ビギナーにもとっつきやすくしたエントリーグレードで、前傾姿勢もゆるく、その乗りやすさには定評があります。エントリーグレードといってもロードバイクの軽快さは存分に体感できます。

ANCHOR RL3 FLAT photo_ブリヂストンサイクル

また、RL3シリーズにはクロスバイクと同じ感覚で乗ることができるフラットハンドルモデルもあります。ドロップハンドルへのこだわりがないなら、こちらもおすすめです。

いずれにしても、ロードバイクを普段使いで快適に使いたいと思ったら、適切なサイズを選び、日々のメンテナンスをしっかり行うことも大事です。そして、交通ルールを守り安全に走りましょう!

リンク: RL3 DROP | ALL LINE UP | アンカー | ブリヂストンサイクル株式会社

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text&photo_SUGAI Gen(CyclingEX

協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社