おいしく食べるなら、自転車をプラス。

私たちがふだん何気なく口にしている食事、お気に入りのお店における「私の定番メニュー」、旅先で出会った名物料理——どんな食べ物でも美味しいにこしたことはありません。そして、日々の暮らしに自転車をプラスすることで、食事はもっと「おいしいもの」になるのです。

誰かにとっての日常が、私にとっての特別になる

自分にとっては身近なお店も、他の人にとっては特別なものになるかもしれません。そこに「わざわざ自転車で来た」ということが加われば、なおさらです。

前回の記事でなどかずさん(@nadokazu)も書いていたのと同じように、私も自転車に乗ってパン屋さんに行くのが好きです。ただ、私の場合は未知のパン屋さんに行くというよりは、自転車で30分くらい走った先にあるパン屋さんに行くのを週末の楽しみにしています。

めんたいポテトのパン

それは、誤解を恐れずに言えば「(ふだんの生活圏から外れた)ちょっと不便なところにある、期待どおりにおいしいパン屋さん」のパンです。近年「ふつうにおいしい」という言い方がありますが、まさにそういう感じでしょうか。街の人々に愛されている、ふつうのパン屋さん。そこでパンを買って食べるのは、誰かにとってのありふれた日常のひとコマかもしれません。

写真を撮る前にかじってしまった、丸いフレンチトースト

そこに、自転車でちょっと遠回りして、隣の隣くらいの街からおじゃまします。店内でトングを持ってパンを選び、迷いに迷った末に選んだふたつのパンを買って、近くの公園のベンチで食べるのは、私にとって至福の時間のひとつです。「自転車に乗って、わざわざやってきた」という感覚は、誰かにとっての日常を、私にとっての非日常へと変えてくれるのかもしれません。

自転車で出かければ名物もより格別に

「名物に旨い物なし」だなんて、誰が言ったでしょうか。

しまなみ海道の来島海峡大橋

かく言う私も、もともとは旅先で積極的に名物を食べるようなタイプではありませんでした。離れた土地へとサイクリングに出かけた際は、走ることや景色を眺め写真を撮ることに追われて、ついつい食べること自体をおろそかにしてしまうクセがあります。

しかし、数年前にしまなみ海道をサイクリングした際——といっても愛媛県側を40kmほど走っただけですが——に食べた「焼豚玉子飯」は、格別でした。

今治の焼豚玉子飯

焼豚玉子飯は、今治のお店のまかない飯が発祥と言われるB級グルメです。温かいご飯の上に乗ったチャーシューと目玉焼き、そしていかにも愛媛らしい甘ったるい(褒めてます)タレが、サイクリングで適度に疲れた身体に染み渡ります。今でもときどき思い出して、また食べたいなと思います。もちろん、サイクリングの後で。

私の身近なところで言えば、江ノ島などは近すぎて(小田急線沿線に住んでいるゆえ)、いつもはサイクリングで来ても海を見たら満足したらトンボ帰りしてしまいがち。しかしある日、いつもの境川経由ではなく初めて引地川経由で江ノ島までサイクリングしたときは、少し道に迷ったり秋の風が思いのほか冷たかったりで疲れてしまい、何か食べて帰りたいと思ったのです。

そして、ふらりと入ったお店で食べたのが「まぐろカツ丼」でした。ちょっと意地悪な言い方をすれば、いかにも江ノ島のお店にありそうなメニューですが、いざ食べてみれば期待以上のおいしさで、サイクリングそのものの満足度も一気に高まった気がしました。そして「食べることって大事だな」と、改めて実感した日でもありました。

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アウトドア+かんたんクッキング+自転車=おいしい

ここ数年、私が個人的にハマっているのが、自転車で河川敷に出かけて簡単な調理をすることです。

ウインナーを焼く

スキレットの上でウインナーを焼くことが調理と言えるのかどうか自信がありませんが、これがどうにも、楽しいのです。「エスビット・ポケットストーブ」という小型のアウトドアストーブと固形燃料を使い、材料は道中のコンビニや食品スーパーで調達します。

カットトマトの中にサラダチキンを投入して温めるだけ

カットトマトの缶詰をクッカーにあけて、そこへカットしたサラダチキンを入れて、温める——こんな簡単なことでも、けっこう楽しいものです。アウトドアでお気軽な調理をして食べること、そして何より「自転車で来た」ということが、ちょっとした非日常感をもたらしてくれるのだろうと思います。

リンク: ポケットストーブ・スタンダード

自転車なら食べることに罪悪感はない!?

いろいろ書いてきましたが、要するに「食べる」ことに「自転車に乗って出かける」ことがプラスされると、食事がおいしく感じられるし、楽しいぞ——ということなのです。そして最後に、自転車は食いしん坊にとって味方であるということを、強調しておきたいと思います。

「つい食べすぎてしまった……」「ダイエット中なのに……」

いつからでしょう、食べることがこんなに悪いことのように扱われるようになったのは。

いっさいの後ろめたさを感じずに、おいしく餃子をいただく権利が私たちにはあるはずです。

おいしい「あんかけ」がどっさりのった「かたやきそば」を完食して「あー、今日は食ったなーっ!」と言っても、よいではありませんか。別に毎日そんな食事をするわけじゃないんだし、ねぇ。

まあ「健康診断の結果が気になってしかたがない」なんてことも、あるかもしれませんね。私もよく、わかります。

だからこそ「おいしく食べるなら、自転車をプラスしよう」と、いうわけです。

地図サイト「マピオン」が提供している「キョリ測(ベータ)」では、地図上で距離を測り、かつその距離を自転車で移動した際の消費カロリーを知ることができます。もちろん、徒歩やジョギングの消費カロリーを知ることも可能です。

リンク: キョリ測(ベータ) 地図をクリックして距離を測定 消費カロリー計算や面積測定も

リンク: キョリ測(iPhone/Androidアプリ)–地図をタップでかんたん距離計測-

自転車は移動速度や小回りの利き具合からよく「徒歩以上、クルマ未満」などと言われますが、消費カロリーと所要時間のバランスに優れた移動手段でもあります。食べたらその分運動すればよいわけですから、自転車で食べにいくことは、おいしい気分を高めてくれるだけでなく、たいへん理にかなっているのです。また、自転車を毎日の通勤手段にすれば、通勤の時間が運動に変わり、自宅の晩御飯だっていっそうおいしく食べられるでしょう。

そう、自転車のある毎日は、とっても「おいしい」のです!

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