自転車の達人が解説! ビンディングペダルとシューズのメリット

クロスバイクやロードバイクなどのスポーツ自転車に乗っている方は、どんなシューズとペダルを使っていますか? ビギナーの方や普段使いで自転車に乗っている方は、スニーカーなどを履き、いわゆる「フラットペダル」を使用していることが多いかと思います。むしろ、それしか知らない——というのが「ふつうの感覚」かもしれません。

しかし、スポーツ自転車の世界では「ビンディングペダル」を使っている人もたくさんいます。

今回は、このビンディングペダルについて紹介しましょう。

文:田代恭崇(2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表)

ビンディングペダルとは

ビンディングペダルとは、クリートと呼ばれる部品を装着したビンディングシューズを、ペダルに(クリートを介して)固定するもののことです。シューズとペダルを固定するときには、シューズに装着されたクリートの先端をペダルにはめ込み、足の踏む力を使ってクリートの後方に垂直方向の力を加えます。ペダルからシューズを外すときには、踵を横にスライドすると開放される仕組みです。

ビンディングペダルの種類とシューズの組合せ

ビンディングペダルには、大まかにいうとロードバイク用とMTB用の2種類あります。さらに、メーカーによっても規格が異なります。対応するシューズ/クリート/ペダルをセットで揃えて使用するのが基本です。

ロードバイク用ビンディングペダルは、ペダルの片面にクリート装着部分があり、接地面が広く軽量に設計されています。クリートはシューズのソールにむき出しで装着されるので、自転車から降りて歩くのには不向きな構造です。

MTB用ビンディングペダルは両面にクリート装着部分があり、ダート走行でもペダルに泥が詰まりにくく、クリートを装着しやすい構造になっています。そしてシューズは、ダートを歩くことを前提にしているので、クリートがソールの外にむき出しにならない構造です。その歩きやすさゆえ、ツーリング向けもMTB用の構造であることが多いです。

ビンディングペダルの価格は、ロードバイク用/MTB用を問わず、下は数千円から、上は4万円ぐらいまで。クリートは、ペダルに付属している場合がほとんどです。

私は、プロロードレーサーの時代にはロードバイク用ビンディングシューズとペダルを使用していましたが、サイクリングガイドである今は、ロードバイクにMTB用ビンディングペダルとシューズを使用しています。

ビンディングシューズの種類

ロードバイク用でもMTB用でも、ビンディングシューズには用途に応じた様々な種類があります。ロードバイク用はペダリング性能に特化したモデルが多く、MTB用はペダリング性能重視のものから快適性や歩くことを重視したツーリング向けモデルまで、幅広いラインナップがあります。

ペダリング性能を重視するモデルは、ソールがカーボンで軽量かつ硬く、シューズのアッパーはワイヤーで引っ張ってホールド性能を高めるものが多くなっています。価格は3万円を超えるものも珍しくありません。

ペダリングと快適性能を重視するモデルは、ソールがプラスチックで軽量かつ硬すぎず、アッパーはベルクロを採用したものが多めです。価格帯は、1万〜2.5万円あたりが主流です。

快適性能を重視するモデルは、ソールがラバーで歩きやすく、シューレース(紐ぐつ)タイプで長時間のサイクリングでも疲れにくい作りにしていることが多いです。価格は、1万円弱〜1.5万円ぐらいでしょう。

価格帯だけでなく、自分のサイクリングスタイルに応じてシューズを選ぶとよいでしょう。

ビンディングペダルとシューズのメリット

「ビンディングペダルとシューズ=上級者」というイメージがあり、価格からしても挑戦するハードルは高めかもしれません。しかし、メリットがあるからこそ多くの人が使っているのです。

ペダリングがスムーズになる

シューズとペダルを固定しているので、ペダリングがスムーズになり、脚の踏み出しが早くなります。また、踏み込んでいない側の脚の「もも上げ」がしやすくなり、踏んでいる脚の邪魔をしないので、スピードも上げやすくなります。つまりペダリングの効率が上がり、同じスピードでも少ない力で走れるため楽に走ることができるのです。

慣れれば使いやすい

また、フラットペダルでは、停止後の再スタート時にはつま先を使ってペダルを踏みやすい高い位置まですくいあげますが、ビンディングペダルはシューズと固定されているので、脚を持ち上げるだけでOK。また、フラットペダルのように脚を踏み外すこともなくなります。

ビンディングペダルの注意点

ビンディングペダルとシューズにはメリットがありますが、注意するべきところもあります。

練習は必要

シューズとビンディングペダルの着脱には、ある程度の練習が必要です。とくに、停車するときに片側のシューズをビンディングペダルから外すわけですが、うまく外れず低速でバランスを崩して転んでしまう(立ちゴケと言われる)ことも起こり得ます。

固定力が調整できるビンディングペダル

ビンディングペダルの固定力が調整できるモデルもあるので、慣れるまでは固定力を落としておくとよいでしょう。

クリートの位置が大事

クリートをシューズに装着する位置も大切で、足裏の親指の「母指球」と小指の「小指球」を線で結んだ中心位置に装着するのが適正です。これは少し難しいので、購入する自転車店に相談するのが無難でしょう。

クリートは消耗品

ロードバイク用のクリートにカバーを付けて、歩行時に痛まないようにした例

クリートは、摩耗したら交換が必要な部品です。ロードバイクシューズではクリートがむき出しなので摩耗も早く、摩耗したクリートは雨などの路面ではかなり滑るので注意が必要です。摩耗を防ぐために専用カバーが売られているので、自転車から降りて歩く機会が多いなら活用しましょう。

終わりに

ビンディングペダルとシューズには、大きなメリットがあります。しかし追加の出費となりますし、慣れるまでは扱いがやや難しい面もあります。初めてのスポーツ自転車でいきなりチャレンジするのではなく、慣れてきたときの「次のステップ」として捉えるのがよいでしょう。

スニーカーとフラットペダルの組み合わせだって、もちろんOK

また、本格的なロードバイクにはビンディングペダルとシューズが必須——と思われがちですが、決してそんなことはありません。利便性の高いスニーカーとフラットペダルでも十分に走ることはできますし、スポーツ自転車での移動やサイクリングを「日常の延長」と捉えた場合には、それで十分です。

ビンディングを導入するかしないか、導入する場合はどんな種類を選ぶか、ご自身のスタイルに合わせて検討し、サイクリングを楽しんでください。


田代恭崇(たしろ・やすたか)

神奈川県藤沢市、江ノ島のすぐ近くで体験型サイクリングプログラムを提供している「リンケージサイクリング」を主宰。2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表選手。

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