サイクリストの「被視認性」を高めるためには

夏から秋へと季節が変わり、日の入りも早くなりました。夕方から夜に入る時間は、車を運転していると小さいバイク、自転車、歩行者は見えにくく、運転にもさらに注意が必要になります。夜間のサイクリングではライトで路面や周囲の状況を確認する「視認性」を高めることはもちろんのこと、他の車両から見られる「被視認性」も大切です。

また、近年は夜間に限らず日中の被視認性も着目されています。そこで今回は、「見られやすさ=被視認性」を高めるポイントをご紹介します。

文:田代恭崇(2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表)

夜間の被視認性を高める

夜間に前照灯(ヘッドライト)と反射板の装着または尾灯(テールライト)を点灯することは、見られやすくするための「基本中の基本」です。

道路交通法では、自転車は夜間と暗所では前照灯をつけなければならず、後方には尾灯をつけるか、反射板を備えなければならないとされています。

前照灯と尾灯、および反射板の要件は各都道府県により細かな違いがありますが、東京都の場合は下記のようになっています。

前照灯の色:白色または淡黄色
前照灯の明るさ:夜間、前方10メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる
尾灯の色:赤色
尾灯の明るさ:夜間、後方100メートルの距離から点灯を確認することができる

※自転車が、法第63条の9第2項本文に定める反射器材(後面の幅が0.5メートル以上の自転車にあつては、両側にそれぞれ1個以上)を備え付けているときは、第1項の規定にかかわらず尾灯をつけることを要しない。

視認性と被視認性をともに高めるために、前照灯にはより明るいライトを選び、常時点灯で使用しましょう。JIS規格のライトであればより安心です。尾灯についても、点滅で使用するサイクリストも多く、確かに被視認性においては有効です。しかし、点滅モードはあくまで補助的なものとして使用してください。

前照灯・尾灯をそれぞれ複数備えることも有効です。私はふだん、前照灯は2つ装着、後方については反射板と尾灯がセットになったものを1つ、そして尾灯1つの計2個を装着し、被視認性を高めています。

着用品で被視認性を高める

ライトだけでなく、身に着けるウエアやメルメットなどにも工夫しましょう。

暗い色よりも白や黄色などの明るい色がよいですし、シューズやソックス、グローブなどの動く箇所も、明るい色の方が目立ち、被視認性は高まります。もちろん「好み」もあるとは思いますから、全身明るい色にしなければいけないということではなく、一部に明るい色を採り入れるようにするとよいでしょう。

また、夜間については反射素材がついたものを身に着けると、さらに被視認性が高まり効果的です。荷物を入れるリュックやショルダーバッグなども、明るい色のものや反射素材が使われているものがおすすめです。後方からの被視認性を高めるために、クリップ式で簡単にリュックなどに装着できるライトも活用しましょう。

例えば、アウトドアブランド「モンベル」のサイクリング用ウインドシェル「リフレック ウインドバイカー」は、リフレックプリントが大胆に配されていているので、夜間の被視認性はばっちりです。

モンベル リフレック ウインドバイカー

カラー:BK(ブラック)、WT(ホワイト)
サイズ:XS、S、M、L、XL (男女兼用)
価格:9,900円(税込)

リンク: モンベル | オンラインショップ | リフレック ウインドバイカー

同じくモンベルから、メッセンジャーバッグも紹介しましょう。

小型のメッセンジャーバッグ「ドライメッセンジャーバッグ S」には、夜間の被視認性を高める反射プリントが配されています。また、ライトを取り付けできるホルダーが備わっているので、クリップ式のテールライトを取り付けることもできます。

モンベル ドライメッセンジャーバッグ S

カラー:BK(ブラック)、GDOG(オレンジ)
価格:13,750円(税込)

リンク: モンベル | オンラインショップ | ドライメッセンジャーバッグ S

※上記画像で使用しているテールライトはBB Boro DR-3.0R(価格:税3,500円)です。

昼間の被視認性も高める

最近、昼間にライトを点灯させている車を見かけるようになりました。昼間の被視認性を高める「デイライト」と言われるもので、いわゆるヘッドライトとは意味が異なるものです。ヨーロッパでは多くの国で義務化されていることもあり、輸入車には標準装備されていることが多くなっています。

また、オートバイでも近年製造されているものはエンジンが作動中であれば、ヘッドライトもしくはデイタイム・ランニング・ライトが常時点灯する構造が義務づけられています。

自転車においても、最近では昼間でもライトを点灯・点滅させているサイクリストが多くなっているように感じます。オートバイより小さい自転車においても、やはり昼間にライトをオンにすることは有効ではないでしょうか。

まとめ

車両の中でも自転車はとくに小さく、他の交通から見落とされがちです。もし接触事故などが発生すれば、大怪我を負うのはサイクリストのほう。他の交通からの被視認性を高めて自身の身を守る——という意識をもちましょう。

とくに前照灯(ヘッドライト)と尾灯(テールライト)は、自身が周囲をよく見るためにも、周囲からよく見られるためにも、とても重要になります。道路交通法で定められたルールを基本として、周囲から見られやすい見落とされないような心がけ・工夫をしましょう。

田代恭崇さん

神奈川県藤沢市、江ノ島のすぐ近くで体験型サイクリングプログラムを提供している「リンケージサイクリング」を主宰。2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表選手。

リンク: LINKAGE CYCLING

photo_リンケージサイクリング、BRI-CHAN編集部、モンベル

協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社