身近な目標を持って「趣味」や「スポーツ」としての自転車を楽しもう

自転車は身近で手軽な交通手段ですが、趣味やスポーツにもなり得る乗り物です。通勤や通学のために自転車を利用している人でも、乗っているときにふと「自転車って気分がいいな」と感じたことがあるかもしれません。

もし自転車の楽しさに気付いたなら、「川沿いのサイクリングロードを走って海を見に行く」といったような、小さな目標を立ててみてはいかがでしょうか。その目標をクリアできたら、かけがえのない達成感を得ることができますよ。

2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表選手の田代恭崇(たしろ・やすたか)さんが、そんな自転車の楽しみ方についてアドバイスしてくれました。

【アドバイザー】
田代恭崇(たしろ・やすたか)さん

神奈川県藤沢市、江ノ島のすぐ近くで体験型サイクリングプログラムを提供している「リンケージサイクリング」を主宰。2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表選手。一般社団法人日本サイクリングガイド協会理事。

リンク: LINKAGE CYCLING

田代さんもはじめは「街乗り」だった

田代さんは、サイクルロードレースで全日本選手権優勝やアテネオリンピック代表などの実績をお持ちですが、最初から「競技志向」だったのですか?

私自身、高校時代はシティサイクルを使っていて、自宅から最寄駅までの4kmくらいを走るのが日課でした。でも、用事などでもう少し長い距離を乗ってみると「自転車って意外と遠くまで行けるな」と気付いたんです。

少し遠出をしてみるだけでも運動になるし、しかも楽しい——それが自転車の、そしてサイクリングの楽しみですね。

いまは日常の移動手段としてクロスバイクを使っている人も多いので、ふだん乗っている自転車でちょっとした非日常を感じるところからはじめてみるのも、よいのではないでしょうか。

自転車で遠くまで行く(ロングライド)

今回は、趣味として自転車を楽しむ上での目標になり得るものを紹介したいのですが、田代さんが言うように「もう少し遠くに行ってみたい」というのは、身近な目標ですね。

そうですね。少しずつ距離を伸ばしていって、今まで自転車で行ったことがないようなところまで辿り着ければ、それだけでも大きな達成感を得られます。普段使いでブリヂストンの「XB1」や「ANCHOR RL1」のようなクロスバイクをお持ちなら、40〜50kmのような長い距離だって不可能ではありません。

また、ロングライドは速さを競うものではありませんから、持久力があってペース配分さえできれば、老若男女に関わらず楽しめるのも魅力です。年齢を重ねた人が趣味として乗るにも、ロングライドはおすすめです。

クロスバイクで50kmのライドに挑戦する方法については、以前にBRI-CHANで紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

ロングライドイベントも楽しい

また、各地で開催されている大きなロングライドイベントを目標にしてみるのも、よいかもしれません。50kmや70kmといったものから、中には200kmといった長距離のものあります。ひとつのイベントで複数の距離・コースが設定されているケースが多く、自分のレベルに合った距離を選んでマイペースで楽しめます。

自分がふだんは行かない地域で長い時間自転車に乗り、空気を肌で感じながら景観を楽しむという非日常体験は格別です。イベントですと「エイドステーション」という補給ポイントがあり、地域の名物が振る舞われたりしますので、それもまた最高の思い出となるでしょう。

イベントですと、同じ目的で集まった人がたくさんいるので、それだけでテンションが上がって楽しい!というのもありますね。

坂道にチャレンジする(ヒルクライム)

比較的安全に取り組めて、チャレンジにもなるものとして、坂道を登り続ける「ヒルクライム」も挙げたいと思うのですが、いかがでしょうか。

ヒルクライムは、登山に近い感覚なのかもしれませんね。登り切ったときの達成感は格別ですし、標高が高いところを走るので景観もすばらい。もちろん、タイムを目標として挑戦してもよいでしょう。

少なくとも登っている最中は、暴走や接触による事故・ケガのリスクが比較的小さいのも特徴です。ヒルクライムのイベントもたくさんありますが、競技色のある自転車イベントの中では、いちばん安全に取り組めるものと言えるでしょう。何千人もの人が、同じゴールを目指してペダルを回し坂道に挑むその光景は、非日常感にもあふれています。

ヒルクライムは、それぞれの目標が設定できるのもよいところではないでしょうか。「1時間15分を切る」といったようにタイムを目標にする人も「制限時間3時間の中で足をつかずに登り切る」人も、それぞれのチャレンジを楽しめるのです。マラソンのサブ5・サブ4・サブ3と似ていますね。

ただ、負荷が高い運動なので、体調が思わしくなければ「走らない・途中で止める」勇気も必要です。また、ヒルクライムは登ったら降る必要があるので、下山はとにかく安全に。標高が高いと気温が下がり、かつ下りでスピードが出るので、防寒装備を用意しましょう。

ヒルクライム=大会に出なければいけない——ということではありません。お手持ちのクロスバイクで、近くの坂道を攻略してみるところから始めるのもよいでしょう。

サイクルロードレースにチャレンジしたい

海外のサイクルロードレースをみて憧れをもち、自分でもやってみたい!という人もいます。とはいえ、いきなりレースにチャレンジするのもハードルが高いように思うのですが、身近なところから目標を持って取り組むとしたら、どうしたらよいでしょう。

もともと何かほかのスポーツをやっていた人は、自転車にハマってからレースに出たくなるケースが少なくありません。中には、スピードの虜になるタイプの人もいます。また、なるべく空気抵抗を受けないように集団の中で位置取りをしたり、他の誰かの動きをマークしたりといった「かけひき」「戦略」があって、そこにハマるという人もいます。

しかし、サイクルロードレースは登りも下りも、そしてコーナーもありますし、スピードの変化もすごく多いのが特徴です。さらに、ふだんのサイクリングでは体験できないような密集状態にもなります。接触のリスク、怪我のリスクもつきまといます。

もしサイクルロードレースに憧れて、自分もレースに出てみたいと思ったら、まずはサーキット等の周回コースで行われる「耐久レース」から始めるのがおすすめです。「時間内にどれだけの距離を走れるか」「制限時間内に100km走り切れるか」といったタイプのイベント。レース本番前に開催される講習会に参加して、横にも自転車がいる状態に少しでも慣れておくのがベストです。

関東ならば「筑波サーキット」や「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」で開催される耐久レースからチャレンジするのが、コースレイアウト的にスピードが出過ぎず、おすすめです。

また、可能ならばショップ主体のチームに入って、みんなで参加して慣れていくのが現実的です。

手頃なスポーツ自転車でも十分だがメンテナンスはしっかり!

今回、ロングライド、ヒルクライム、サイクルロードレース(耐久レース)と、趣味やスポーツとしての自転車の楽しみ方を紹介しましたが、普段使いしているスポーツ自転車でも楽しむことはできるでしょうか。

ロングライドやヒルクライムなら「XB1」や「ANCHOR RL1」のようなクロスバイク、そして「ANCHOR RL3 DROP」などエントリーモデルのロードバイクでも、まったく問題ありません。サイクルロードレースでも、例えばコンポーネントがシマノ・105以下のものでも十分。自転車のグレードよりも、しっかり整備された自転車と装備で、安全に楽しむことが大切です。

また、ブレーキの掛け方や変速の仕方など、自転車の基本的な操作方法など、ちゃんと教わる機会があるのが理想ですね。

自分の操作が未熟だったり、整備が行き届いていない、間違った知識でパーツ交換をして不具合が起きた——そういったことが理由で転んだら、ほかの誰かを巻き込んでしまう可能性があります。その点は、しっかり意識しておきましょう。

自転車との付き合い方は人ぞれぞれですが、乗ること自体が趣味やスポーツになり得るのは、自転車の面白いところ。

今回紹介したロングライド/ヒルクライム/ロードレース(耐久レース)以外にも、さまざまな楽しみ方があります。いくつかやってみるうちに自分に合うものがみつかり、自転車がかけがえのない趣味になるかもしれません。

今回名前が出てきたブリヂストンの自転車3台

photo_ブリヂストンサイクル

XB1
価格:72,000円(税込)
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photo_ブリヂストンサイクル

ANCHOR RL1
価格:77,000円〜80,000円(税込)
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photo_ブリヂストンサイクル

ANCHOR RL3 DROP
価格:112,000円(税込)
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関連タグ: 自転車の達人シリーズ – BRI-CHAN

TEXT_Gen SUGAI(CyclingEX) photo(特記以外)_LINKAGE CYCLING, Gen SUGAI

協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社