クロスバイクで新しい発見をしよう! 50kmのライドにチャレンジするには

みなさんはクロスバイクをどんなことに使っていますか?

通勤用、買い物用、日常の足として使うことが多いのではないでしょうか。そうであれば距離は5〜10km、時間にすると30分から1時間といったところかと思います。でも、それだけではもったいない!

クロスバイクには、50kmや100kmといった距離を乗るためにの十分な性能があるんです。

文:田代恭崇(2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表)

50kmや100kmと聞いて「いや、そんなのロードバイクの人たちが走る距離だよ……」なんて思うかもしれませんが、準備やポイントをおさえれば、クロスバイクでもロングライドができます。

休日にいつもの行動範囲を超えて走ると、見たことのない風景や新しい発見が待っています。クロスバイクはちょっとした旅にももってこいの自転車なのです。

50kmの距離ってどのぐらい?

50kmという距離は、いつもの行動範囲の5倍や10倍といった距離になります。なかなか距離感覚はつかめませんが、なんと東京駅から青梅駅や、神奈川県の鎌倉駅まで行けるのです。ちなみに東京駅から宇都宮駅までは100kmです。

50kmを走るためには、どのぐらい時間がかかるでしょうか。時速15km/hぐらいで走れることができれば、信号などで停まる時間を考慮すると、大体1時間で10kmぐらい進むことができます。単純計算ですが、5時間あれば50kmの距離を走れるのです。走行5時間、お昼1時間、休憩15分4回=1時間の計7時間あれば走破できます。こう考えれば、可能性が見えてくるのではないでしょうか。

目的地を設定しよう

例えば、新宿駅からスタートすると考えてみましょう。2020東京オリンピックのロードレーススタート地点である武蔵野の森公園(東京都府中市)までが、約20kmとなります。こちらを目的地として、オリンピック会場やコースのパレード区間を体感しつつ、近隣の有名な深大寺そばを食べて新宿駅に戻ると、距離は50kmちょっと。ロングライド入門としては絶好のコースです。ちなみに東京駅からですと、武蔵野の森公園までまっすぐ行って帰って、約50kmです。

また、観光地として有名な江ノ島は、小田急線と相鉄線の乗り換え駅である中央林間から「境川サイクリングロード」経由で往復50km弱です。

これらはほんの一例ですが、登り坂を少なくして、平坦路やサイクリングロードを中心にコースを設定し難易度を下げることがコース設定のポイントです。

プランニングには、グーグルマップなどを活用するのがおすすめ。自宅から目的地までの距離と、自転車推奨ルートを確認することができますし、サイクリングするときのナビとしても活用できます。自転車に装着するスマホホルダーなどがあると道に迷うことなくサイクリングを楽しめるでしょう。

走行中は、ナビ機能を注視すると危険なので、確認程度にとどめましょう。位置情報を取得するGPSはバッテリーを消耗するため、モバイルバッテリーがあれば安心です。

装備を揃えよう

長距離を走る上で必須なのは、「サイクリングパンツ」です。

サイクリングパンツのパッド(裏側)

長時間乗車するのでお尻が痛くなりがちですが、サイクリングパンツにクッションになるパッドがついているので、お尻が痛くなりにくく、快適にサイクリングが楽しめます。

飲料水を自転車に装着できる「ボトルゲージ」も、ぜひ用意しましょう。

500mlペットボトルにも対応するボトルケージ

飲料水はリュックサックに入れればよいと考えがちですが、できるだけ背中に背負うものは軽くすることで、疲労を軽減できます(500mlペットボトル1本でも、大きく影響します)。また、ボトルケージがあれば、すぐに飲み物に手が届くのもポイント。いちいちリュックなどから取り出すことなく、こまめな水分補給ができます。ボトルケージには、サイクリングボトル用のものだけでなく、一般的なペットボトルも装着できるようなものもあります。

もうひとつおすすめする装備が、スピードメーターです。

自転車用メーター

走行スピードや積算距離がわかればモチベーションもアップすることでしょう。スマートフォンでも代用できますが、サイクリング用のアプリやマップアプリを常時立ち上げて画面もつきっぱなしでは、バッテリーが減ってしまいます。メーターはメーターとして、別途用意するのがおすすめなのです。

また、サドルバッグと呼ばれるものにメンテナンスツールや予備のチューブなどを入れて持っていけば、パンク修理程度は自分で対処できます。持っていくとよいものについては、こちらの記事も参考にしてください。

紹介しているものの一部は生産終了していますが、いろいろなメーカーから同じようなものが発売されているので、揃えるべきものの参考にはなるはずです。

そして、身を守るためにヘルメットはぜひかぶってください。

ヘルメットについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

スタート前の準備

50kmや100kmといった距離を安全に走り切るには、自転車がちゃんとメンテナンスされていることが重要です。不安な点があれば、前もって自転車店に持ち込んで、点検・整備をしてもらいましょう。「明日サイクリングしたいから」といって前日にお店に行っても、解決に時間がかかる問題点がみつかってしまう可能性もありますから、前の週までには点検を済ませておきたいですね。

そして、出発当日も「出発前点検」を忘れずに。基本的なチェック内容は、こちらの記事で紹介しています。

意外と忘れがちなのが、タイヤの空気圧です。出発前に必ずタイヤへ空気を入れましょう。

パンクしていなくても、タイヤの中にあるチューブの空気は徐々に抜けていくものです。空気が抜けている状態だと走りが重くなり、体力を余計に使うことになります。さらに、段差での衝撃の影響や異物が刺さるなどしてパンクするリスクも高まります。タイヤのサイド部分に最低空気圧と最高空気圧が刻印してありますから、最高空気圧の80%ぐらいを目安に体重に応じて微調整してください。

最近は自転車のロードサービスも充実していますから、事前にチェックしておき、必要であればサービスへ加入をしておきましょう。

走行ペースを考えよう

体力の消耗を防ぐには、走行ペースが大切です。速度を15km/hから17km/hにしても、距離50kmでは25分程度の差ですので、1日の行程の中では大きな差とはなりません。喋れるぐらいの楽なペースを維持しながらでも、50kmの距離を走ることは十分に可能ですから、速度にはあまりこだわらないようにしましょう。

そして、休憩をとること、水分を補給すること、栄養をとることを忘れないようにしましょう。

ついつい走ることに夢中になったり、時間に追われて休憩を省いてしまう人が少なくありません。しかし、疲労しエネルギーも切れると「ハンガーノック」という症状を起こしがちです。ハンガーノックは、まさに「電池切れ」とでもいうような症状で、ひどい場合は立ち上がれないばかりか、小銭入れのジッパーすら開けられないほど力が入りません。

ただ50kmの距離を夢中になって走るのではなく、途中で食べるお昼ご飯を楽しみにしたり、景色がよいポイントでは止まって写真をとりつつ、ついでにドリンクを飲んだり……というふうに、心の余裕をもってサイクリングを楽しみましょう。プランニングの段階で、ぜひ意識してください。

また、サイクリング中の坂道に不安がある方は、以前の記事をチェックしてください。乗り方のコツも掲載しているので参考になると思います。

そして最後に、天気がよいときにチャレンジすることが大事! 雨の日や極端に暑い/寒い日、風が強い日などは体力が奪われたり、事故のリスクが高まったりします。もちろん、明るい時間に帰ってこられるようにするのも大事です。


クロスバイクで長い距離を走るためのプランニングや準備、ペース配分について駆け足で紹介しましたが、いかがでしたか?

いつもは移動手段として使っているクロスバイクは、みなさんが思っている以上に遠くまで出かけられる乗り物です。ぜひ、今まで走ってことがない距離にチャレンジしてみてください。ペダルをこいだ先には、新しい発見、新しい出会いが待っているかもしれません。

今回の記事に登場したクロスバイク 

CYLVA F24(税別52,800円)※3年間盗難補償付き
製品情報はBRIDGESTONE GREEN LABEL(ブリヂストン グリーンレーベル)のWebサイトでどうぞ。

リンク: シルヴァ | ブリヂストン グリーンレーベル | 自転車 | ブリヂストンサイクル株式会社

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田代恭崇(たしろ・やすたか)

神奈川県藤沢市、江ノ島のすぐ近くで体験型サイクリングプログラムを提供している「リンケージサイクリング」を主宰。2004年夏季アテネ五輪・自転車ロードレース日本代表選手。

リンク: LINKAGE CYCLING

協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社