テレワーク時代の「自転車の楽しみ方」

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレワーク(在宅勤務・リモートワーク)が推奨されています。実際にテレワークが導入されたり「出社とテレワークが半々」といったような働き方をしている方も、たくさんいらっしゃるでしょう。そこで今回は、そんなテレワーク時代の「自転車の楽しみ方」について考えてみました。

在宅勤務前後や昼休みのサイクリングで気分転換

いわゆる「密」を避ける移動手段として、自転車が注目されている昨今。公共交通機関から自転車へと通勤手段をスイッチした人も多いことでしょう。一方で「今まで自転車通勤をしていたけれど、テレワークで通勤がなくなった」という人もいるはず。また、公共交通機関で通勤していた人は、運動不足に悩まされているのではないでしょうか。

このパートでは、テレワークでの仕事の前後や昼休みに自転車を楽しんだり、活用したりといったことを紹介したいと思います。

【このパートの文:須貝弦(CyclingEX)】

●自転車通勤できないなら「エア通勤」はどうだ!

テレワークによって在宅勤務になると、通勤時間がなくなります。通勤距離が長めだった人はとくに、自分の時間が増えたような気がしてうれしいのではないでしょうか。満員電車のストレスからも、解放されますよね。

しかし実際にテレワークを始めてみると気がつくのが、運動量が大きく減少すること。私の場合、自宅から最寄駅までの徒歩10分と、職場の最寄駅から職場までの徒歩10分、そして昼休みの散歩や帰宅時の寄り道など、なんだかんだで1日1万歩は歩いていました。ところが在宅勤務になると、歩く量がめっきり減っていきました。

自転車通勤をしていた人であれば、運動不足になるばかりか、自転車に乗る機会が大きく減ってストレスを感じるようになるかもしれません。

そこで、仕事の前後の時間を活用しましょう。

テレワークで働く前後の時間は、プライベートです。通勤がなくなる分、つい睡眠時間に充ててしまうという人も少なくないでしょうが、この時間で「エア通勤」をしてみるのもありかと思います。

朝、仕事を始める前に外の空気を吸い、体を動かすという行為は、プライベートモードと仕事モードを切り替えるスイッチの役目を果たしていると言えるでしょう。通勤をしていれば、それがスイッチでした。もし通勤することがなくなってしまったら、通勤したつもりになればよいのです。

私の場合、朝はちょっとした散歩に出て、夕方に仕事を終えた後は、散歩または自転車……というふうにしています。夕食までの時間に自転車でコーヒーショップに出かけて、コーヒーを飲みながら静かな時間を過ごし、そして遠回りをして自宅に帰るだけでも、とてもよい気分転換になります。また、日が長い季節は仕事が終わったら即サイクルジャージに着替えて、スポーツサイクルに跨がり「練習モード」で近所の坂を何度か登ったりもしていました。通勤していた時より、むしろ健康的な気がしています(気分だけですが)。

それに、リモートワーク中の「エア通勤」であれば、職場が自転車通勤禁止だった人も、あこがれの自転車通勤ができる——と考えることが、できなくもないですよね。もちろん「こじつけ」ですが。

●自転車で昼休みを有効活用!

そして最近、新たに見出した楽しみが「昼休みに自転車に乗る」ということ。昼食後の30分ほどの時間に、自転車で近所を散策するのです。

もちろん散歩でも構いません。私も「歩きたい気分」の日のほうが、どちらかと言えば多いと思います。自転車に乗るのは「ああ、今日はもったいないくらいの自転車日和だな!」と思うとき。自転車日和だと感じたら、自転車に乗ればいいのです!

もうひとつは、昼休みの時間を有効に活用したいとき。ちょっと買い物に行きたいなんて場合もそうですし、最近は昼休みに自転車でお気に入りのスポットに出向き、写真を撮ることも増えています。

私は水辺の風景が好きなので、昼休みに川沿いの道を自転車で走り、川に集まるカモやサギ、そして川沿いの低木に群れているメジロなんかを撮って楽しんでいます。写真はまるで下手ですが、季節の変化を感じられるところに魅力を感じています。

例えば1月の末には、渡り鳥の「ジョウビタキ」を見かけました。短い昼休みでも、いろいろな発見があります。そこに自転車をプラスすることで、お気に入りのスポットにより速く到着して、数分でも長く撮影を楽しむことができるというわけです。

そんなときには、バリバリのスポーツサイクルよりも、普段使いできる自転車がいいですね。ブリヂストンの自転車で言えば「MARKROSA(マークローザ)」や「VEGAS(ベガス)」がぴったりでしょう。

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●もちろん安全第一&時間厳守で!

言うまでもありませんが、テレワークの前後や昼休みに自転車に乗るのは、完全にプライベートな行為です。本当に通勤しているときと違って、事故に遭っても労災にはなりません。また、仕事の前に自転車に乗っていたら、パンクして始業時間までに家に戻れなかった……なんてことがあってもいけません。私が昼休みに自転車に乗るときは、必ず「歩いても午後の勤務までに戻れる範囲」にしています。

交通事故が怖いという人には、導入に費用はかかりますが、@などかずさんが紹介してくれる「ZWIFT」もおすすめですよ。


「ZWIFT」で仮想空間のサイクリングを楽しむ

テレワークで自分の時間が増えたと言っても、平日の朝晩や昼休みに自転車に乗るのは、事故に遭うリスクが心配……という人も少なくないでしょう。そんな方のために、室内でサイクリングが楽しめる「ZWIFT(ズイフト)」を紹介します。

【このパートの文:@などかず

●ZWIFTとは

みなさんは「ZWIFT(ズイフト)」をご存知ですか? ZWIFTとは、自転車をトレーニング用の「サイクルトレーナー」などと呼ばれる機器にセットして、仮想空間でのサイクリングやトレーニングを楽しめる有料サービスです。

仮想空間上では空想の都市のほか実在の街並みが再現されているコースもあり、その中でサイクリングを楽しんだり、ときにはイベントやレースに参加することもできるのです。

リンク: Zwift | The at home training app connecting cyclists around the world

●スマートトレーナーとは

ZWIFTを楽しむためには、一般的には「スポーツサイクル」と「スマートトレーナー」が必要です。

以前から、室内でトレーニングするために、自転車をセットしてタイヤやリムでローラーを回転させる機器がありました。その進化版がスマートトレーナーで、スマートフォンアプリなどを介して負荷を調節したり、出力などのデータを通信でやり取りすることができます。

そして、ZWIFTなどの仮想空間とも双方向で通信ができます。仮想空間のコースで上り坂に差し掛かれば、負荷もそれに応じて高くなる……といったことが可能です。

スマートトレーナーにはいくつかのタイプがありますが、私は「ダイレクトドライブ式」と呼ばれる、自転車の後輪を外してセットするものを使っています。

続いて、私がZWIFTをどんなふうに楽しんでいるのかを紹介しましょう。

●日々の運動として楽しむ

テレワークで通勤時間が丸ごと自由時間になったのは嬉しいのですが、「通勤が実はかなりの運動になっていた」ということに気付かされました(主に体重計の衝撃的な数値を見て)。「自宅での勤務後、小一時間身体を動かしておきたい」と思ったときに、最適の運動がZWIFTだと思っています。

・セッティングを済ませておけば着替えるだけですぐ走り出せる。
・誰とも接触しないので感染不安が無い。
・交通事故のリスクも皆無。

など、ZWIFTで走らない理由を探すのが難しいほどです。

●バーチャルサイクルイベントも楽しめる!

毎年出ていた「アルプスあづみのセンチュリーライド(AACR)」をはじめ、多くのサイクルイベントが中止になりました。そんな中で「グランフォンド小諸」が『GRANFOND KOMORO feat. LongRiderStories! Enjoy Ride』としてZWIFTでバーチャル開催されました。

生中継のライブ配信を視聴したり、国内外の参加者とチャットしながらのZWIFTグループライドは、バーチャルとはいえイベント感・特別感にあふれる体験でした。

また、イベントによっては、有名なプロ選手といっしょに走る機会もあります。また、2020年はプロ選手による世界的なバーチャルレースも開催され「観戦する」という楽しみも増えました。

●仮想サイクリングを始めるなら今!

それなりの初期投資は必要ですが、室内で安全に自転車を楽しめる手段としてしては、今のところ最有力だと思います。ZWIFTを筆頭に仮想サイクリングは、これからもどんどん成長していくことでしょう。始めるには、今が絶好のタイミングではないでしょうか。

などかず(@nadokazu)プロフィール:広告会社勤務のWebプロデューサー。週末はサイクリングと写真撮影を楽しむ。家族サービスの時間を確保するために、サイクリングは早朝が多いというお父さん。Instagramアカウントはこちら


テレワーク時代の自転車の楽しみ方について、実際に自転車に乗って外を走るだけでなく、インドアで楽しむ方法も紹介しました。テレワークは通勤のストレスから解放されて自分の時間も増える一方で、家にいる時間が増えて別のストレスも出てくることでしょう。自転車を活用して、上手にリフレッシュしていただけたらうれしいです。

車両提供(MARKROSA 7S):ブリヂストンサイクル

協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社