2021年9月にブリヂストンサイクルから発表された新しいクロスバイク「XB1(エックスビーワン)」。従来モデル「CYLVA F24(シルヴァ・F24)」の後継であり、初めてスポーツ自転車を購入する人が面倒に思ったり不安に感じたりする要素を取り除いているのが特徴です。クロスバイクの新たな鉄板モデルになり得るでしょうか!?
(写真・文:須貝弦)
駅前や街中にある駐輪場、そして行き交う自転車を眺めると、近年はスポーツタイプの自転車に乗っている人もずいぶん増えたものだと感じますが、それでもまだまだ、いわゆる「ママチャリ」などと呼ばれるシティサイクルが多数派です。
ブリヂストンサイクルからXB1が発表された際のニュースリリースには『ニューノーマル時代において、単なる移動手段だけではなく、健康維持や環境にも配慮できる自転車が注目を集めています』と書かれています。実際、自転車に注目する人は増えました。家の片隅でホコリをかぶっていた古い自転車を修理に出したり、今まで乗っていた自転車が古くなったから買い替えたり、しばらく自転車を所有していなかった人が新たに購入したり——さまざまなかたちで「みんなが自転車に乗り始めている」のです。
そして、スポーティで「軽くて速い」というイメージがあり、かつ普段使いできる自転車として、クロスバイクの注目度も俄然高くなっています。
しかし、いざ「クロスバイクを買おう!」と思い立っていろいろと調べたり、実際に自転車店に足を運んでみると、クロスバイクを買うことは想像以上に面倒であることに、多くの人が気づくでしょう。
まず、メーカーやブランド、そして商品の種類が多すぎて、何を選んだらよいかわからなくなります。まあ、この点については予算の範囲内で、自転車店の説明も聞きつつ、自分がピンと来たものを選ぶしかありません。
「面倒」は、購入する自転車を決めた後にも立ちはだかります。多くのクロスバイクはシティサイクルと違い、自転車本体だけを買えば済むわけではなく、カギ(錠)やライト、さらにはスタンドなど、後付けのオプションをアレやコレやと買い足す必要があります。初めてクロスバイクを購入する人は、まさかスタンドが付属していないなど思いもしないでしょう。
XB1は、そういった「面倒」を取り除いて、初めてクロスバイクを購入する人が「買ってすぐに乗り出せる」ようになっています。
具体的に挙げると、XB1にはライト/カギ/スタンドが標準装備となっています。標準装備とはつまり自転車の価格に含まれているということ。「自転車本体の価格だけ見ていたけど、必要なものを買い足したら事前の想像より高くなってしまった」なんてことはありません。
XB1は、買った後の「面倒」や「不安」も解消してくれます。例えば、自転車にはつきものの「パンク」。XB1は、パンクガード付きの「リベルクタイヤ」を標準装備しています。異物を踏みつけてしまっても貫通しにくい構造で、パンクから守ってくれるのです(もちろん、空気をちゃんと入れてあることが前提です)。
そして、自転車での不安といえばやはり「盗難」でしょう。XB1には、盗難に遭った際に3,300円(税込)で同一車種を補償する盗難補償が、3年間も付帯しています。盗難に遭わないのがいちばんですが、盗難保証があるのとないのとでは、気持ちも万が一の際の出費も、まるで違いますよね。
これらの標準装備品や盗難補償が64,000円(税込)という価格に含まれているのは、CYLVA F24から上昇しているとはいえ今なお「かなりお買い得」と言えるでしょう。
さて、いくら標準装備品や盗難補償で不安や面倒を取り除いているといっても、走りがダメであれば、よいクロスバイクとは言えません。
フレームなど主要な部分は前モデルの「CYLVA F24」から大きく変更されていないので、走り出しの印象も(よい意味で)「そうそう、こんな感じだよね」というものになります。漕ぎだしは軽く、ペダリングの回転数を上げればシャープに加速。そして直進安定性は高く、かといって身のこなしが重たいわけでもない——突出したものはないのですが、バランスよくまとまっています。それまでシティサイクルしか乗ったことがない人でも安心して、通勤や通学などの街乗り、そして週末のポタリングなどに使えるのではないでしょうか。
体に触れる部品であるサドルとグリップはCYLVA F24よりもかっちりとしたものに変更されており、フレームがもともともっている走行性能の高さと相まって、全体的にほどよくシャープな乗車フィーリングになったと感じました。
なお、XB1はフレームサイズが4種類用意されています。ちゃんと自分の体格にあったサイズを選ぶことが、XB1の走りの良さを享受する条件です。
初めてクロスバイクを購入する際の不安や面倒を取り除き、スポーティな走行性能をデイリーユースの中で享受できるXB1。走りの面では「突出したものはない」と書きましたが、かといって不足している部分もありません。「単色+BRIDGESTONEロゴ」というわかりやすいグラフィック(しかもカラバリ6種類!)になったことで、より多くの人になじむようになったと感じますし、十分に「悩んだときはコレ!」的な鉄板モデルとなる素質をもっていると言えるでしょう。
●BRIDGESTONE XB1
価格:64,000円(税込)
撮影車両サイズ:540mm
※2021年12月発売予定
リンク: エックスビーワン | スポーツ向け自転車 | 自転車 | ブリヂストンサイクル株式会社
[2021/12/21 追記]
残念ながら発売が2022年6月の見込みと、大幅に延びてしまいました。
情報源: XB1発売再延期に関するお知らせ|お知らせ 2021|ブリヂストンサイクル株式会社
[2023/1/16]本記事掲載のあと、スペックと価格が変更されています。詳細はメーカーのWebサイトでご確認ください。また、2023年モデルを写真で紹介する記事を掲載しました。下記リンクからごらんください。
text&photo_SUGAI Gen(CyclingEX)
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社