東京都町田市から、江ノ島の目の前である片瀬海岸まで流れる「境川」のサイクリングロードは、BRI-CHANでも何度か紹介したおなじみのサイクリングコースです。そのルート上に、ちょっと気になる橋があります。この橋をきっかけに「日本最初の近代水道」をたどってみました。
(text&photo_SUGAI Gen)
その「気になる橋」は、町田市内の「南町田グランベリーパーク」至近にあります。外観から、この橋が水道橋であることは容易に想像がつきました。また、Google検索等で調べたところ「境川水道橋」という、そのものズバリな名前であわることもわかりました。
水道橋そのものはどこにでもある存在ですが、私が気になったのは「その先」。
こちらは、近年「南町田グランベリーパーク」と一体的に整備された「鶴間公園」です。先ほどの水道橋の延長線上に、鶴間公園を貫く遊歩道が続いています。それだけではありません。
その先にも、ごらんのように遊歩道が存在しているのです。
これって、水道道路?
そう思いGoogleマップをあらためて確認すると、近くに「川井浄水場」があり、そこから横浜方面へと「水道道(すいどうみち)」が続いています。やはり、水道道路でした。それも、ただの水道道路ではありません。横浜に日本で初めて近代的な水道が敷かれたときから現在まで続いている、歴史ある水道道路なのでした。
明治20(1887)年に、日本最初の近代水道が横浜に誕生しました。 創設時の導水ルートは、水を取入れていた相模川と道志川の合流地点である「三井用水取入所」津久井郡三井村(現 相模原市緑区)から「野毛山浄水場」(現 野毛山配水池)までの約44kmでした。
情報源: 浄水場等の見学 横浜市
この日本初の近代水道を敷設するにあたり、トロッコが用いられたそうです。当時は、トラックなどありませんからね。
今では日本初の近代水道の通り道、そしてかつてトロッコが通った道が「水道みち」として整備され、その歴史を伝える看板が横浜の野毛山公園まで設置されているとのこと。
これを、とりあえず南町田から野毛山公園までたどってみよう——そう思い、ゴールデンウィーク中にブリヂストンの電動アシストクロスバイク「Tb1e」ででかけました。
今回の記事では、日本最初の近代水道とその敷設のためのトロッコ軌道跡を「水道みち」、現代において一般道の名称として使われているものを「水道道」(読みは「すいどうみち」)と書き分けています。場所によっては水道のルートが変更され「水道みち」と「水道道」が分かれていることがあります。また「水道道」と名付けられた道路は、他の場所にもあります。
とりあえずやってきたのは、鶴間公園。
イベントで大盛り上がりの鶴間公園はキッチンカーがたくさん出ていて、水道みちの案内看板を見つけるのに苦労しましたが、ありました。横浜市のWebサイトによれば、野毛山公園までにこれと同様の看板があと13個あるはずです。さあ、野毛山公園まで行ってやろうじゃありませんか!
自転車通行可の遊歩道なら自転車で進み(歩行者優先)、降りて押す指示には当然従い、遊歩道のない一般道では車道通行というルールを自分に課して、いざスタートです。——と、意気込んでみたものの、鶴間公園の先でいきなり階段だったので、迂回して国道246号のバイパスと交差する地点へ。
すると水道管を使ったベンチ(?)があって、そのすぐ近くに例の看板がありました。いきなり「水道みちらしさ」を存分に感じさせてくれるモニュメントです。
次の看板は、地元の人が念入りに手入れしているであろう、花がきれいな公園の一角にありました。
それらしい注意看板やマンホールが、この下に水道管があるということを認識させてくれます。
水道管が通っている場所のすべてが立ち入れるわけでは、ありません。チェーンで塞がれた向こう側を歩いていた猫と、目が合ったみたいです。
その先には、横浜市の川井浄水場がありました。
川井浄水場から野毛山公園を目指すその前に、1ヶ所寄り道したいところがあります。
協力・協賛:ブリヂストンサイクル株式会社